最新記事
健康

「頑固じいちゃん・ばあちゃん」は長生き? イタリアの長寿村調査で分かったこと

2017年12月25日(月)18時45分
松丸さとみ

イタリアの長寿村で長生きの秘訣を調査 (写真はイメージ)Josef Mohyla-iStock

人口の3.3%が100歳以上という地域

長生きするには、食べ物に気をつけて適度な運動を心がけて......と思うところだが、南イタリアにある高齢者の多い地域を医師らのチームが調査したところ、長生きの秘訣は意外なところにあることが分かった。

イタリア南部のチレントという地域は、高齢者が多いことで知られている。2016年9月の英紙テレグラフは当時のデータで、人口6万人に対し100歳以上は2000人ほどとしていた。高齢の秘訣を探るために、これまで何度も研究の対象になってきたようだ。

今回の調査を行なったのは、イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学と米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者たち。チレントにある9つの村に在住の91〜101歳のお年寄り29人と、その家族51人(50〜75歳)が対象だ。結果は、12日にインターナショナル・サイコジェリアトリクス(国際老年精神医療)に発表された。

長生きの鍵は「頑固」、「楽観的」、「勤勉」など

これまで行われてきた高齢者の研究のほとんどが、遺伝学上の側面から長生きを捉えたものであり、精神や性格について取り上げたものは少ない、と指摘するのは、調査チームの1人、ディリップ・V・ジェステ医師だ。この調査では、身体的・精神的な健康を定量的な尺度で測ると同時に、個々人の人生についての聞き取りも行った。

その結果、身体的には当然ながら50〜75歳の家族の方が健康だったが、精神的には91〜101歳の人たちの方がより健康だったことが分かった。また、91〜101歳の参加者たちの自信と意思決定能力がかなり高いことも示唆された。ジェステ医師は、世間的に考えられている、年を重ねると、身体的な健康は衰えていくものの心の健やかさは高まり知識は増える、という概念がその通りであることを示す結果だった、と話している。

そして分かったのは、この人たちの心が健康的な理由は、主に「頑固」、「楽観的」、「家族愛」、「地元愛」、「勤勉」、「宗教」が鍵のようだということだ。

主執筆者のアナ・スケルツォ氏によると、91〜101歳のグループは支配的で頑固で、自分が物事をコントロールしたいと考える傾向にあった。こうした特徴は、「自分の信念に正直」で「他人にどう思われても構わない」と考えるということなので、長生きするのに望ましいとスケルツォ氏は述べている。

ただしこの「物事をコントロールしたがる傾向」は、周囲の変化に適応したり、物事を楽観的に捉えて困難を乗り越えたりといった気質ときちんとバランスが取れていることが大切だという。また、この村の高齢者のほとんどは、家事をしたり農作業をしたりと仕事を続けており、こうした仕事に対する勤勉さも生きる目的となって長寿に寄与しているようだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ラガルドECB総裁、任期満了が「基本方針」 WSJ

ビジネス

トランプ緊急関税、最高裁が違法判決なら1750億ド

ワールド

日ロ関係はゼロに低下、平和への対話進行していない=

ビジネス

金価格が上昇、米イラン緊張と欧州債券利回り低下で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中