最新記事

エルサレム

イスラム圏首脳が緊急会議 東エルサレムのパレスチナ首都認定を呼び掛け

2017年12月14日(木)11時16分

12月13日、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことを受け、トルコのイスタンブールで、イスラム圏の57カ国・地域が加盟するイスラム協力機構(OIC)の緊急首脳会議が開催された。写真はトルコのエルドアン大統領(右)とパレスチナ自治政府のアッバス議長(左)。イスタンブールで撮影(2017年 ロイター/OSMAN ORSAL)

トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定したことを受け、トルコのイスタンブールで13日、イスラム圏の57カ国・地域が加盟するイスラム協力機構(OIC)の緊急首脳会議が開催された。

OIC首脳は、トランプ大統領の決定を非難するとともに、東エルサレムをパレスチナの首都と認めるよう国際社会に呼び掛けた。

トルコのエルドアン大統領は、会議の最後に「今後は、中立の立場にない米国がイスラエルとパレスチナの仲介役となることは不可能だ」と発言。「今後の仲介役を誰にするかを協議する必要がある。この問題は国連でも取り組む必要がある」と述べた。

トルコ外務省のウェブサイトに掲載された共同声明によると、OIC首脳はトランプ大統領の決定を「米政権が和平の支援役から退いたことの表明」とみなし、「あらゆる和平の取り組みを台無しにし、過激思想とテロを誘発し、国際社会の平和と安定に対する脅威」と表現した。

パレスチナ自治政府のアッバス議長、イランのロウハニ大統領に加え、米国の同盟国であるヨルダンのアブドラ国王も会議に出席し、トランプ政権の決定を批判した。

アッバス議長は会議で「エルサレムはいまも、そしてこれからも常に、パレスチナの首都だ」と主張。トランプ大統領の決定は「最大の罪」であり、言語道断の国際法違反だと非難した。また、米国はイスラエルに肩入れしているため、中東の和平プロセスに参加することは認められないとも語った。

米国務省の報道官は記者会見で、OIC首脳会議での米国批判について問われると、大統領は中東の和平プロセスに「専念している」と回答。大統領の決定はエルサレムの最終的な境界に影響を与えていないと述べた。

また、東エルサレムについて、将来的にパレスチナの首都に認められるかとの問いには、エルサレムの最終的な地位はイスラエルとパレスチナ間の協議で決まると答えた。

OIC首脳らは会議終了後、共同声明とは別に、「イスタンブール宣言」を発表。この中で「トランプ政権に対し、中東の混乱を招きかねない決定を見直し、誤った措置を取り消すよう求める」と訴えた。

首脳会議には、50以上の加盟国・地域の代表が集まったが、米国の同盟国であるサウジアラビアなど、閣僚級以下を派遣した国もあった。

[イスタンブール 13日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で

ビジネス

NY外為市場=円急伸、財務相が介入示唆 NY連銀総

ワールド

トランプ氏、マムダニ次期NY市長と初会談 「多くの

ワールド

ウ大統領、和平案巡り「困難な選択」 トランプ氏27
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 8
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中