最新記事

ミサイル

防衛省が長射程ミサイル導入を検討 東シナ海の中国軍や北朝鮮も視野に

2017年12月5日(火)13時51分

12月5日、防衛省が長射程の空対地ミサイルの導入に向け、準備経費を2018年度予算案に計上する方向で調整していることがわかった。写真は防衛省の小野寺大臣。都内で8月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

防衛省が長射程の空対地ミサイルの導入に向け、準備経費を2018年度予算案に計上する方向で調整していることがわかった。島しょ防衛強化策との位置づけだが、自衛隊がこれまで能力を保有してこなかった敵基地攻撃にも使用できる。

関係者の1人によると、候補に挙がっているのは米ロッキード・マーチン(LMT.N)製の射程1000キロの空対地ミサイル。航空自衛隊のF15戦闘機に搭載可能かどうか、防衛省は研究費用を来年度予算案に計上する方向で調整している。8月末の概算要求時点では、この経費は含まれていなかった。

このミサイルは射程が長く、敵の攻撃を受けにくい地点から発射できるのが特徴。東シナ海で活発化する中国軍の動きをけん制するのが主な狙いだが、射程が1000キロあれば北朝鮮にも届く。別の関係者によると、弾道ミサイルの発射台などをたたく敵基地攻撃にも使える。防衛省は、最新鋭のF35戦闘機に積むノルウェー製のステルスミサイルの取得も検討している。

専守防衛を掲げ、抑制的な防衛力の整備を基本としてきた日本は、他国の領土まで届く攻撃的な兵器の保有を控えてきた。

しかし、関係者の1人は「ミサイルの長射程化は世界的なすう勢。日本も足の長いミサイルの取得を検討するのは当然の流れだ」と話す。

小野寺五典防衛相は、5日午前の閣議後会見で「現時点では関係経費を来年度予算に計上する方針を固めているわけではない」と説明。「敵基地攻撃能力は米国に依存しており、今後とも日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていない」と語った。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)

[東京 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英も「貯蓄から投資へ」、非課税預金型口座の上限額引

ワールド

来年のG20サミット、南ア招待しないとトランプ氏 

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 当局はテ

ワールド

トランプ氏、高市氏に日中関係の状況悪化望まずと伝達
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中