最新記事

子育て

イクメン夫を見分ける6つの条件

2017年11月21日(火)18時40分
ジル・ヤボルスキ(ノースカロライナ大学シャーロット校助教)

3. 稼ぎ頭はどっち?

夫婦間の収入バランスは家事の分担率を大きく左右する。フルタイムの共働き世帯の場合、男性は自分が稼ぎ頭である場合のほうが家事や育児を平等に分担しなくていいと答え、実際も妻任せにしがちだ。

一方、女性が稼ぎ頭の場合はより平等で、妻より収入が少ない、あるいは働いていないなど妻の稼ぎに頼っている男性は、そうでない男性に比べてはるかに育児を担う時間が多い(それでもまだ妻よりは少ない)。

4. 妻の仕事も重要

妻が長時間働き、学歴も収入も夫より上という世帯のほうが、男性が育児をする時間は増える。だが家事となると事情が違い、妻の収入が多いほど夫の家事分担が大幅に増えるわけではなく、妻がこなす家事が大幅に減る。

例えば、掃除や食事の後片付けで手抜きする、食事をテイクアウトにしたりお手伝いさんを雇ったりする、といった具合だ。夫が家事を引き受ければ理想的かもしれないが、「外注」という方法でも女性の家事が減るのは格差解消に役立つだろう。

5. 「女の仕事」をしている夫のほうが家庭で協力的

夫の職業も重要だ。ノートルダム大学のエリザベス・マクリントック教授によれば、看護や人事など女性中心の職種で働く男性は、男女混合あるいは男性中心の職種で働く男性に比べて家事分担率が最も高い。

女性中心の分野で働くことを選ぶ男性のほうが、男女の役割について進んだ考えを持っているからかもしれない。1日中女性に囲まれて仕事をしているので、妻への思いやりが増すせいとも考えられる。

6. ママが留守だとパパが頑張る

労働者階級でよくあるように、夫は夜勤、妻は昼間働くなど、夫婦で仕事の時間がずれる世帯のほうが、夫がお弁当を作ったり食器を洗ったりする時間が大幅に増える可能性が高い。夫が家にいるときは妻は仕事でいないため、「男手一つ」で子育てをする時間もそうでない男性よりはるかに多い。

労働者階級の男性のほうが男女の役割について保守的な考えを持ちがち(かつ特に男社会の業界で働きがち)ではあるが、現実問題として託児所やベビーシッターを利用すれば高くつく。結局、経済的なニーズこそが男女平等を実現する最大の武器なのかもしれない。

というわけで、家事と育児を平等に分担してくれそうな男性の特徴をあれこれ頭の中で考えてみれば、理想的なイクメンの条件は次のようになる――高学歴で進歩的な考えを持ち、女性中心の職種で働き、妻より稼ぎが少なく、妻が仕事に出ているときに家にいる時間が長い。

この条件にぴったり当てはまる男性はほとんどいないかもしれない。それでも男性がさまざまな面で家庭のことに参加する機会が増えるにつれて、洗濯物の少なくとも半分は畳む男性が増えると思いたい。

(筆者は父親と母親の役割分担、および職場での格差と差別を専門に研究している)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2017, Slate

[2017年11月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FRB理事候補ミラン氏、政権からの利下げ圧力を否定

ワールド

ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の

ビジネス

米ISM非製造業指数、8月は52.0に上昇 雇用は

ビジネス

米新規失業保険申請、予想以上に増加 労働市場の軟化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 7
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中