最新記事

中朝関係

習近平は北朝鮮の金正恩を10月に見限るのか?

2017年9月28日(木)12時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

KCNA -REUTER(left)、POOL New-REUTER(right)

<北朝鮮の金正恩と米トランプ政権の激しい非難の応酬が続き、偶発的な衝突から戦争へ突入するリスクが高まるなか、鍵になると見られているのが中国の習近平の動きだ。10月の共産党大会に向け、金正恩を抑え込む手柄を立てられるだろうか?>

国連総会に出席した李容浩(リ・ヨンホ)北朝鮮外相は、25日帰国前に記者会見を開き、朝鮮半島の海上の国境ともいえる北方限界線(NLL)を超えて23日に飛行した米戦略爆撃機B-1Bを念頭に、「米国が宣戦布告をした以上、我が国の防衛権は、我が国の領空外を飛行する米国の戦略爆撃機を撃墜する権利も含まれる」と発言。これに対しトランプ政権側は「ばかげている」と一蹴し、「作戦は国際空域で行われたもので、我々は合法的に飛行・航行できる」と今後も同様の活動を行う可能性を示唆。互いに一歩も引くことのない批判合戦が続いている。

韓国メディア韓国日報は、これまでの言葉と言葉の応酬が、軍事行動の応酬にエスカレートしかねないと報じている。

それによれば、北朝鮮が自衛権を掲げて先制攻撃に出る可能性は低いが、米国の攻撃的な軍事圧力に対する対抗策として、様々な形の武力行使を繰り広げる可能性はかなり高い。 李外相がトランプ大統領の国連演説に対し、同じスタイルで非難を返したように、北朝鮮は「目には目を、歯に歯を」形式の報復対応をこれまで行ってきたからだ。

まず、米軍機が再びNLLを越えれば、国際空域であっても、北朝鮮は対応射撃に乗り出す可能性が大きい。 もともと国連軍側が設定したという経緯から北朝鮮はNLL自体を認めていない。そのため北朝鮮は今回NLL侵犯を問題視する代わりに報復対応のため「自衛権」を掲げたものとみられる。「自衛権」という大義名分によって北朝鮮もNLLを超え、韓国側国際空域に戦闘機を侵入させることができる。一方、 B1-B爆撃機のNLL侵犯を口実にNLL自体の無効を主張し、北朝鮮艦船がNLLを侵犯し挑発する可能性も排除できない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村HD、成長フェーズ入りに手応え 2030年目標

ワールド

中国のレアアース輸出、新規ライセンス第1弾発給=関

ビジネス

英中銀、銀行の自己資本比率要件を1%引き下げ 経済

ビジネス

りそなHD、社内DXに100億円投資 「生成AIも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 4
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中