最新記事

ローマ法王

ISISがバチカンを襲うのは時間の問題だ

2017年8月28日(月)14時10分
ジャック・ムーア

スイス衛兵は16世紀からローマ法王を守ってきた精鋭部隊 Max Rossi-REUTERS

<16世紀からローマ法王を守ってきた世界最古のエリート陸軍が、ISISの攻撃に身構える>

カトリックの総本山、バチカン市国とローマ法王(教皇)フランシスコを警護するスイス衛兵の隊長が、ISIS(自称イスラム国)の配下か影響下にある者がバチカンを攻撃するのは「時間の問題だ」と語った。

クリストフ・グラフ隊長は、スイスのカトリック・ニュースサイト「cath.ch」に、スイス衛兵はローマ法王を守るためにあらゆる過激派の攻撃に備えていると言った。

【参考記事】ベニスで「アラーは偉大なり!」と叫んだら射殺

「攻撃まで時間はないかもしれないが、準備はできている」と、彼は言う。16世紀にローマ法王に雇われたスイス傭兵に起源をもつスイス衛兵は、スイスの若い男性だけから成る世界最古の超エリート陸軍だ。奇抜でカラフルな軍服を着ているので、観光客にも人気だ。

法王を目の敵に

イスラム過激派はこれまでもローマ法王とローマ法王庁(バチカン)をプロパガンダの標的に使い、目の敵にしてきた。ローマカトリックの信者を背教者や十字軍と呼び、その象徴であるローマを転覆するといってきた。2015年の2月には、エジプトのキリスト教の一派、コプト教徒21人を海岸に並べて頭部を切る動画を公開した。

今は発行されなくなったISISの広報誌ダビクでも、バチカンの有名なサン・ピエトロ広場を表紙にして「失敗した十字軍」というタイトルをつけたこともある。

【参考記事】ISISがローマ攻撃の可能性、ドローンを飛行禁止に

2016年4月には、イスラム過激派がバチカンとローマにあるイスラエル大使館を爆破しようした計画をイタリア当局が暴いている。容疑者4人が逮捕され、うち1人はシリアのISIS戦闘員からメッセージアプリのワッツアップを使って命令を受け取っていた。

以来、サン・ピエトロ寺院への大通りは、攻撃を恐れて通行止めのままになっている。今年に入ってヨーロッパの各都市が次々とテロに襲われてからは、警戒はますます厳重になっている。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ首相、米国との関税協議継続 「反撃より対話」

ビジネス

ECB、インフレ目標乖離に過剰反応すべきでない=オ

ワールド

トランプ氏がプーチン氏と電話会談、17日にウ大統領

ワールド

イスラエルとハマス、合意違反と非難応酬 ラファ再開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中