最新記事

ロシア疑惑

トランプ長男、ロシア疑惑の動かぬ証拠を自らツイート

2017年7月12日(水)20時43分
ミシェル・ゴールドバーグ

昨年の大統領選挙戦中、父トランプの応援をするトランプ・ジュニア(左) Mike Segar-REUTERS

<娘婿クシュナーも含め、これでトランプ選対がクリントンを倒すためにロシアの手を借りようとしたことははっきりした。トランプ長男はバカなの?>

トランプ陣営のロシア疑惑で、決定的証拠が出たと言っていいだろう。出所はいかにもトランプらしく、一家の長男による奇妙なツイッターだ。

ドナルド・トランプ・ジュニアは、昨年の大統領選の最中にロシア政府との仲介役の男性と交わしたメールをニューヨーク・タイムズ紙が報道すると知っていたのだろう。7月11日の朝、誰もが驚いたことに、ツイッターで自ら進んで一連のメールを公開したのだ。

なぜそんなことをしたのかは意味不明だ。恐らく透明性をアピールすれば、メールの重大性を軽く見てもらえるとでも思ったのだろう。もしこれがドナルド・トランプ米大統領の戦略で、今回のような決定的証拠もうやむやにしようというつもり、それに対抗できるかどうかはアメリカ人の良識にかかっている。

【参考記事】就任5カ月、トランプは馬鹿過ぎて大統領は無理

ジュニアにメールを送ったのはロシアの音楽関係者、ロブ・ゴールドストーンだ。トランプと親交のあるロシアの資産家の息子で、あるポップ歌手の広報担当者だ。

選対幹部3人がロシア側と面会

メールの中でゴールドストーンは、米大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントンに不利な情報を提供すると申し出た。「これは明らかに非常に高レベルで、慎重に扱われるべき情報だが、ロシアやロシア政府によるトランプへの支援の一貫だ。アラスとエミンも協力している」とゴールドストーンは書いた(アラス・アガラロフはポップ歌手の父親で、かつてトランプがモスクワのトランプ・タワー建設で提携しようとした資産家だ。エミン・アガラロフはその息子のポップ歌手)。ジュニアはこう返信した。「それが本当なら最高だ、特に夏の後半がいい」

ジュニアはそのメールを妹イバンカ・トランプの夫ジャレッド・クシュナー(現大統領上級顧問)とトランプの選対責任者だったポール・マナフォートに転送し、ゴールドストーンが「ロシア政府の弁護士」として言及した人物と一緒に面会しようと持ち掛けた。その弁護士はナタリア・ベセルニツカヤで、昨年6月9日に米ニューヨークのトランプ・タワーでジュニア、クシュナー、マナフォートと面会した。

【参考記事】トランプ大統領長男とロシアの陰にキッシンジャー氏

ベセルニツカヤが面会で3人に有益な情報を提供したかどうかは重要でない(ジュニアは情報はなかったと言っている)。

このメールのやり取りは、トランプ陣営が大統領選でクリントンに勝つためにロシアの助けを欲していた事実を証明している。そして夏の後半、ロシアはハッキングされたクリントン陣営のメールを暴露してトランプ陣営を助けた。トランプ陣営はその3日前、ロシアとの紛争が続くウクライナ政府への武器供与を支持しないよう、共和党綱領を書き換えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド総選挙、2回目の投票始まる 与党優位揺るがず

ワールド

米中関係の「マイナス要因」なお蓄積と中国外相、米国

ビジネス

デンソーの今期営業益予想87%増、政策保有株は全株

ワールド

トランプ氏、大学生のガザ攻撃反対は「とてつもないヘ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中