最新記事

環境

「地球の気温は250度まで上昇し硫酸の雨が降る」ホーキング博士

2017年7月4日(火)19時01分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士 Toby Melville-REUTERS

<アメリカのパリ協定離脱を批判したホーキング博士が、地球の「金星化」を予言。さらにこれを裏付けるデータも>

著名な理論物理学者スティーブン・ホーキング博士が、人類に警告を発した。地球上の気温はいずれ250度まで上昇し、このままだと手遅れの状況になる可能性があるという。

7月2日に母校のケンブリッジ大学で行われた75歳の祝賀記念講演でホーキング博士は、アメリカの「パリ協定」からの脱退が原因で、地球上の気温上昇が加速するとの見方を示した。人類にとっての最善策は、他の惑星を植民地化することだと語った。

ホーキング博士は「地球温暖化は後戻りできない転換点に近づいている」と指摘し、ドナルド・トランプ米大統領によるパリ協定脱退の決断がさらに地球を追い詰めることになると非難した。気温は250度まで上がって硫酸の雨が降るという、まるで金星のように過酷な環境だ。

さらにこれを裏付けるような調査結果が出た。アメリカ気象学会の衛星データから地球表面と地球全体の温度が連動してどんどん暑くなってきていることが確認されたとワシントン・ポストが報じた。

【参考記事】イーロン・マスク「火星移住は生きている間に可能だと知ってほしい」
【参考記事】リッチな人々の火星移住は近い

不可逆的な状況になる前に

トランプは6月1日にホワイトハウスで声明を読み上げ、パリ協定から離脱すると発表した。同時に、自ら離脱するにもかかわらず「(パリ協定に署名する194カ国と)再交渉を始めて公正な協定を結びたい」とも提案。これを受け、ドイツ・メルケル首相とフランス、イタリアの首相は即座に連名で声明を発表。「パリ協定は再交渉できない」とトランプの提案を拒んだとニューヨーク・タイムズなどが報じた。

トランプの掲げるアメリカ第一主義に則って、離脱は「米国の雇用を守ることにつながる」と主張したが、アップル、フェイスブックなどの企業から批判を浴びる結果になってしまった。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はツイッタ―で、「パリ協定脱退は間違った決定」だと投稿した。

(パリ協定離脱は、地球にとって間違いだ。アップルが約束した気候変動への取り組みは決して揺らぐことはない)


【参考記事】パリ協定離脱に喝采するトランプの「真の支持基盤」は誰か

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:気候変動で加速する浸食被害、バングラ住民

ビジネス

アングル:「ハリー・ポッター」を見いだした編集者に

ワールド

中国、今後5年間で財政政策を強化=新華社

ワールド

インド・カシミール地方の警察署で爆発、9人死亡・2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 3
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...その正体は身近な「あの生き物」
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    「腫れ上がっている」「静脈が浮き...」 プーチンの…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中