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民事再生法申請のタカタ、不安残る事故防止策 交換ルールなど課題

2017年6月27日(火)15時34分

交換部品については、ホンダやトヨタなどは十分に確保しているが、まだ間に合っていない車メーカーもある。メーカー各社は交換部品として硝酸アンモニウム以外の火薬材料を使う他社製品を工面しているほか、一部メーカーは硝酸アンモニウムを使った乾燥剤入りのタカタ製も使っている。米調査会社バリエント・マーケット・リサーチによると、交換部品の約25%がタカタ製という。

タカタは15年10月末以前の受注分と交換部品の供給が完了する20年3月までに、乾燥剤の有無に関わらず硝酸アンモニウムを使うインフレーターの生産を終了する計画。今のところ硝酸アンモニウム仕様であっても乾燥剤入りならば交換部品としての供給は許されているが、その安全性に米当局が完全なお墨付きを与えているわけではない。

米当局は、高温多湿の地域では生産から6年、寒冷地域では25年でインフレーターの異常破裂のリスクが高まると報告している。タカタは当局の指示に従い、18年末までに解析結果をまとめ、19年末までに耐用年数と合わせて乾燥剤入りの安全性の証明を目指すが、証明できない場合は乾燥剤入りの製品もリコールになる公算が大きい。

自動車には、同じく火薬を用いる発炎筒が搭載されているが、使用期限は法律で4年と定められている。地球温暖化で日本でも高温多湿化が進む可能性もあり、自動車業界には「エアバッグも使用期限や定期的に交換するルールを決めるべきだ」との声は多い。だが、タカタや業界全体が再発防止に向けたルール作りに取り組むような動きは消費者には見えていない。

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