最新記事

軍事

ロシアの極超音速ミサイル「ジルコン」で欧米のミサイル防衛が骨抜きに?

2017年6月6日(火)17時00分
ルーシー・ウェストコット

ウラジオストックで実施された海軍イベントのリハーサル Yuri Maltsev-REUTERS

<予定より1年早くテストが実施されたロシアの極超音速ミサイルシステム。攻撃にかかる時間が大幅に短縮されるこのシステムが導入されれば、欧米のミサイル防衛の能力を凌駕することになる>

ロシアが予定よりも1年早く、極超音速ミサイルシステム「ジルコン」のテストを今週4日に実施した。

欧米のミサイル防衛システムを凌駕する能力を持つ「ジルコン」は、ロシアの政府系メディア「スプートニク」によると、最高速度では時速7000キロ(マッハ6~7)で飛行が可能。ロシア海軍の原子力ミサイル巡洋艦「ピョートル・ベリーキイ」に搭載できると伝えられている。

発射テストは当初2018~20年に実施される予定だったが、1年前倒しされた。250キロ離れた目標を約2分半で攻撃できる。

【参考記事】プーチンが軍拡宣言、ヨーロッパだけでなく極東アジアでもアメリカに対抗

ドイツのニュースサイト「DW.com」の取材に対して軍事専門家のティム・リプリーは、ジルコンによって「ロシアが防衛、報復攻撃の配備にかかる時間を大幅に短縮できる」と話している。

さらにこうした極超音速ミサイルシステムは「飛躍的な技術進歩」を示すもので、米軍も極超音速ミサイルシステムの開発に取り組んではいるものの、いまだにテストが実施される兆候は見られない、と言う。

今回のミサイルテストは、欧米とロシアの関係が悪化する中で実施された。西側がウクライナ紛争に介入するロシアへの非難を続ける一方で、昨年の米大統領選にロシアが介入した疑惑も高まっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中