最新記事

ブレグジット

総選挙後のイギリス、EU離脱シナリオはどう変わる?

2017年6月13日(火)09時00分

(4)離脱を延期

英国が混乱に陥ったため、離脱交渉期間を伸ばし、メイ首相が示した条件を変えるよう求める声が高まるかもしれない。第50条では、EU諸国が満場一致で合意すれば2年間の延長が認められることになっている。

しかし──。EU首脳らは、域内で亀裂を生みかねない議論の火ぶたを切るのを嫌がるだろう。首脳らはまた、欧州議会選挙が予定される2019年5月までに英国に離脱してほしいと望んでいる。

(5)イングランドだけ離脱

スコットランド行政府は、EU単一市場にとどまれるような特別合意を望んでいる。

北アイルランドについては、EUの関税同盟に残留させる案が一部から出ている。保守党と閣外協力する見通しの北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)も、国境問題に関して厳しい合意を望んではいない。

しかし──。カタルーニャ自治州の分離独立問題を抱えるスペインは、スコットランドの独自合意を阻止しようとするだろう。今回の英総選挙でスコットランド独立党が議席を減らしたことも不利に働くだろう。

また、北アイルランドをEU関税同盟に残すためには、北アイルランドと英国の他地域の間に何らかの貿易障壁を設けざるを得ず、それを避けようとすれば極めて複雑な仕組みが必要になるだろう。

(6)ソフトな離脱

英国がEU単一市場にとどまる「ソフト・ブレグジット」が、今後数カ月間の論争の中心となりそうだ。

しかし──。EU首脳側はこの案を排除はしないものの、ノルウェーに似た厳しい条件を英国に課すとしている。すなわち、見返りとして資金の拠出、EUからの移民と難民の受け入れ、欧州司法裁判所の規則順守を求めている。

これらはEU離脱派の要求とかけ離れている。またEU側も「いいとこ取り」は許さない姿勢だ。英国のソフト・ブレグジット支持派は、EU諸国は対英輸出が大きいので要求を受け入れるかもしれないと主張しているが、EUは現在、足並みの乱れを断固回避する姿勢であり、ソフト・ブレグジット交渉は時間の無駄に終わりそうだ。

[ブリュッセル 11日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米2月ADP民間雇用、予想上回る6.3万人増 過去

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、米潜水艦が攻撃 少

ビジネス

フィッチ、インドネシア見通し「ネガティブ」に下げ 

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中