最新記事

トルコ

トルコ大統領「EU加盟交渉難航は宗教が一因、状況次第で断念も」

2017年4月26日(水)13時45分

4月25日、トルコのエルドアン大統領(写真)は、ロイターの取材に応じ、トルコの欧州連合(EU)加盟交渉が長引いている背景にはイスラム教への嫌悪感があるとし、加盟を断念する用意もあると語った。写真は取材に際してアンカラで撮影(2017年 ロイター/Umit Bektas)

トルコのエルドアン大統領は25日、ロイターの取材に応じ、トルコの欧州連合(EU)加盟交渉が長引いている背景にはイスラム教への嫌悪感があるとし、加盟を断念する用意もあると語った。

欧州評議会議員会議はこれに先立ち、昨年のクーデター未遂を受けてトルコ政府が反政府勢力を弾圧している状況を巡り、トルコを人権問題の監視対象とした。エルドアン大統領はこの決定を「完全に政治的だ」と批判した。

トルコでは大統領権限を強化する憲法改正の是非を問う国民投票が今月行われ、賛成が過半数を占めた。国民投票の前には、ドイツとオランダがトルコ閣僚による自国での改憲支持集会の開催を阻止したのに対し、エルドアン大統領が両国をナチスになぞらえて批判するなど、トルコとEU加盟国の関係は一段と悪化している。

エルドアン大統領はインタビューで、破壊されたモスクの写真などを見せながら、「欧州では、イスラム嫌いの度合いが極めて深刻になっている。EUはトルコに対する門戸を閉ざしつつあるが、トルコは誰に対しても門戸を閉じようとしていない」と発言。

「EU側が誠意をもって行動しない場合、われわれは出口を見つける必要がある。なぜ、これ以上待たなければならないのか。(トルコが欧州共同体に加盟する意思を示した1963年のアンカラ協定から)54年間協議を続けている」と語った。

大統領はまた、必要な場合は、英国のようにEU加盟の是非を問う国民投票を実施する可能性があると明らかにした。

今週はトルコのEU加盟にとって重要な会議が予定されている。26日にはEU議員による協議、28日には加盟国外相による協議が予定されている。

エルドアン大統領は、協議の行方を注視しているとし、トルコにはなお交渉を継続する意思があると表明。「EU側の要求に応じる用意があるが、トルコはまだ入り口に立たされたままだ」と語った。

大統領はさらに、「EUにはトルコのような異なる信仰を象徴する国が必要だが、EU加盟国はそれを認識していないようだ。彼らはイスラム教徒の国を(EUに)受け入れることがとても難しいと考えている」と述べた。

[アンカラ 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

毎日配信のHTMLメールとしてリニューアルしました。

リニューアル記念として、メルマガ限定のオリジナル記事を毎日平日アップ(〜5/19)

ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア「H20」は安全保障上の懸念=中国国営

ワールド

中国、米にAI向け半導体規制の緩和要求 貿易合意の

ワールド

北朝鮮、軍事境界線付近の拡声器撤去を開始=韓国軍

ワールド

米、金地金への関税明確化へ 近く大統領令=当局者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 2
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段の前に立つ女性が取った「驚きの行動」にSNSでは称賛の嵐
  • 3
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中印のジェネリック潰し
  • 4
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 5
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    メーガン妃の「盗作疑惑」...「1点」と語ったパメラ・…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 9
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 10
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中