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投資の基礎知識

決算発表で株価はどう動くか、決算前のチャートから読み解く

2017年3月22日(水)18時30分
高野 譲 ※株の窓口より転載

■思惑で買って事実"前"に売る

これに対して、短期チャートからわかるのは「投資家の思惑」です。

決算銘柄を持っているか否かにかかわらず、決算前にだけ銘柄情報をチェックする投資家は多くいます。つまり決算直前の思惑とは、裏を返せば「ポジションの解消」に他なりません。

相場格言では「思惑で買って事実で売る」と言いますが、実際には「思惑で買って事実"前"に売る」のが通例なのです。

機関投資家(法人の投資家)や長期保有を目的とした個人投資家は、基本的に、決算前に買うことはしません。決算後に、内容を見てから買います。したがって、彼らのポジション解消と、それを知って先読みした短期筋たちの壮絶なバトルを映したのが短期チャートだと言えるでしょう。

証券会社のトレーダーが意に反して決算前にポジションを取ってしまい、上司からお叱りを受ける姿を、私は何度も目にしています。

決算直前の値動きは、決算後には関係ない?

長期チャートで見た場合と同じように、短期的に株価が大きく上昇・下降すれば、「企業側に求められる決算内容」の敷居の高さが変化することになるでしょう。しかし、上下3%以内の値動きなら、決算後の値動きには関係ないと言えます。

あえて私の経験から言わせていただくなら、決算日には逆に動くことが多いです。つまり、前日の終値が上昇(下落)したのに、決算発表によって下落(上昇)するのです。なぜなら、通常、大きな発表前の値動きというのは、プラスマイナスゼロであることが標準だからです。

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図④を見てください。ドルのように市場の大きな金融商品では、重要指標(米雇用統計)の発表前には値動きがほとんどなくなります。

つまり、重要指標である決算の発表前に、株価が大きく動くこと自体が異例なことなのです。そうであるなら、思惑で動いた分だけ翌日に是正されても不思議ではありません。このことから、決算前の値動きを見極めるには、短期筋の思惑に乗らないことが大切だと言えるでしょう。

【参考記事】株価が割安かどうかを見極める指標の「三角関係」

新たな相場の楽しみ方に

決算前の値動きは、基本的には長期チャートで分析します。しかし、レンジというもみ合い相場で、買われ過ぎ・売られ過ぎの判断がつかないときは、長期から中期、短期へと時間軸を短くして、前期決算の内容と値動きから次はどうなるだろうか、と思案することもできます。

投資家やメディアの注目は常に決算発表直後に集まりますが、ここで一度、決算前の値動きに視点を向けてみるのも、相場を楽しむひとつの方法だと思っていただければ幸いです。

[筆者]
高野 譲[たかの・ゆずる]
株式・先物・FX投資家、個人投資家8年と証券ディーラー8年の経歴を持つ。現在は独立し、投資関連事業を法人化、アジアインベスターズ代表。著書に『図解 株式投資のカラクリ』『株式ディーラーのぶっちゃけ話』(いずれも彩図社)がある。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
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