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アメリカ為替政策のスタンスつかみかねる日本、当面は静観維持

2017年2月19日(日)17時16分

2月17日、日米間の議論の行方に関心が集まる為替問題で、米側の政策スタンスがはっきりしないため、日本側は当面、静観するスタンスになりそうだ。写真は都内で2009年11月撮影(2017年 ロイター/Yuriko Nakao)

日米間の議論の行方に関心が集まる為替問題で、米側の政策スタンスがはっきりしないため、日本側は当面、静観するスタンスになりそうだ。トランプ米大統領は日米首脳会談で円安批判をせず、ムニューシン米財務長官も足元でははっきりした方針を示していないが、対米貿易黒字への批判は通貨安批判に連動しやすいだけに、日本政府内には円安批判への警戒感も残っている。

トランプ相場で急激な円安の進んだ2016年末、トランプ政権は米国に世界の資金を還流させるためドル高を志向し、海外からの資金を利用して国内のインフラ整備を進め、米国内の雇用を増加させる経済政策を取るとの見方が、市場では多かった。

ムニューシン財務長官など政権幹部に米投資銀行ゴールドマン・サックス(GS)出身者が多く、同じくGS出身だったルービン元財務長官の「強いドル」路線が連想されたためだ。

ムニューシン財務長官は、今年1月19日の米上院での指名公聴会で、ドルにとって「長期的な力強さは重要になる」と述べ、長期的にドル高を維持することが重要になるとの考えを示していた。

また、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は今月14日、米上院で「緩和解除の待ちすぎは良くない」と述べた。日欧が超金融緩和策を維持する中で、米利上げが実行されれば、外為市場ではドル高要因として反応する可能性が高い。

ただ、1月23日のブルームバーグはムニューシン財務長官が「過度に強いドルは米国経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性がある」との考えを示したと報じた。

1月31日にはトランプ大統領が、ホワイトハウスで製薬会社幹部を前に「ここ数年、日本がやってきたことを見てみろ。通貨の切り下げだ」と批判。政府・日銀の間では、ドル安・円高への警戒感が一気に高まった。

だが、2月10日の日米首脳会談や、その後のフロリダでのゴルフや会食などで、両首脳の間では、為替は議論されなかったという。

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