最新記事

為替

アメリカ為替政策のスタンスつかみかねる日本、当面は静観維持

2017年2月19日(日)17時16分

一方で麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとする「日米経済対話」の設置が決定。トランプ大統領から直接的に為替や自動車分野で対日批判が出てくる可能性を抑制する「体制」も整えられた。

政府・与党内には、日米首脳会談でトランプ大統領が「蜜月」を演出し、円安や自動車を材料にした対日批判を封印したことで、ひとまず円安や自動車での批判は出てこないだろうとの安心感が広がっている。

だが、米政権が「ドル安志向」なのか、「ドル高容認」なのかその本音をつかみきれないとの声が政府関係者から漏れてくる。

「トランプ政権の経済政策を実行すれば、経済は過熱気味となるためFRBの利上げは必要になるだろう」(日銀幹部)との見方がある一方、「FRBの政策はトランプ政権(の志向する方向)と異なり、いずれ修正を余儀なくされるのではないか」(政府高官)と予想する向きもある。

別の政府高官は「今の米国にとって(急激な)利上げが、本当に良いことかわからない。米(金融・為替)政策の方向はわかりくい」と述べている。

フリン氏が米大統領補佐官を辞任し、労働長官の指名でも迷走。トランプ政権は人事面でのごたごたが続いている。政治任用となっている各省庁の幹部人事も停滞しており、麻生副総理は15日、ペンス副大統領訪日時に予定している初回の経済対話でも「米側がスタッフ不足」のため、詳細を「詰めた話が出る感じはしない」(衆院財務金融委員会)と述べた。

日本政府の内部では「あえて今、日本側から為替議論を持ち掛けないのが得策」(政府関係者)との声が広がっている。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は4日ぶり反発、円安を好感 自律反発狙いの

ワールド

イラン最高指導者、核問題巡り米の要求拒否 ウラン濃

ビジネス

アラスカLNG開発、50社が1150億ドル相当の契

ワールド

中国国家主席は非常にタフ、ディールは極めて困難=ト
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 7
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 10
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中