最新記事

メディア

今こそメディアに勧めたいポピュリスト大統領との付き合い方

2017年2月14日(火)10時40分
森田浩之(ジャーナリスト)

ABCのミュアー(左)は「ひねり」のある質問を投げ掛けた Martin H. Simon-ABC/GETTY IMAGES

<トランプ政権に批判的なウォッチを続けるのはもちろんいいことだが、ときには「ひねり」を加えた手法で報じてみるのもいい>

トランプ米大統領が精力的に動いている。中東など7カ国からの入国を一時停止する大統領令をはじめ、さまざまな動きが国内外で批判を呼んでいる。

メディアは、このポピュリスト大統領とどう付き合えばいいのか。ただひたすら、批判を続けるしかないのだろうか。

もちろん、徹底的な批判は必要だ。手を緩めてはならない。しかし一本調子で批判を続けるのも、楽しい作業ではない。

ここでは少し別の手を考えてみたい。例えば「今やろうとしていることは、本当にあなたの理想のアメリカをつくるためのものか」と念を押す。「あなたのやっていることは、自分の品格を落とすことにならないか」と忠告する。

こうしたひねりには効果がある。先日、米ABCテレビがトランプの単独インタビューを行ったとき、この手法が織り交ぜられていた。今後、他のメディアの参考になるかもしれない。

【参考記事】トランプ弾劾は賛否半々、オバマに戻ってきて欲しい人が過半数

インタビューはホワイトハウスで行われた。インタビュアーは、ABCのデービッド・ミュアー。43歳のミュアーは明晰な言葉で、トランプに質問を投げ掛ける。その問いは、時にトランプの公約の痛いところを突く。例えば、移民の問題について。

「不法移民の親に連れてこられた子供たちがいます。彼らは国外追放される可能性があるのでしょうか。それとも、アメリカにとどまれるという保証を得られるのでしょうか」

「移民」という問題から「子供」という要素だけを取り上げると、それまで見えなかった問題が見えてくる。移民の生活だけでなく、子供の成長や教育の問題に関わるからだろう。

器の小ささを暗に示す

次にミュアーが触れた大きなポイントは、トランプが「違法な投票がなければ、一般投票でも自分が勝っていた」と言い続けている点だ。

「大統領は今週、ホワイトハウスに議会指導者を招いたときも、300万~500万票の不正投票があったと話していました。事実であれば、アメリカ史上最悪の不正選挙ということになります。その証拠はどこにあるのでしょう。証拠を示すことなく、そのようなことを言い続けていると、あなたへの信頼が損なわれると思いませんか」

一般投票でも自分が勝っていたというトランプの主張に証拠があるなどと思っていた有権者は少ないだろう。だがミュアーは、証拠について問いただすのを忘れていなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米2月ADP民間雇用、予想上回る6.3万人増 過去

ワールド

イラン軍艦がスリランカ沖で沈没、米潜水艦が攻撃 少

ビジネス

フィッチ、インドネシア見通し「ネガティブ」に下げ 

ワールド

中国政協開幕、軍トップ張氏ら政治局員2人が姿見せず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 7
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中