最新記事

メディア

今こそメディアに勧めたいポピュリスト大統領との付き合い方

2017年2月14日(火)10時40分
森田浩之(ジャーナリスト)

そして、この質問が飛んだ。「あなたは就任式の後に報道官に記者会見を開かせ、聴衆の数について話させました。あなたにとっては、就任式の聴衆の数がいくつもの重要な問題より大切だと受け止められるとは思いませんか」。大統領に就任して最初の関心事が、就任式の聴衆の数だというトランプの「器の小ささ」を暗に示していた。

こんなふうに、トランプ報道にさまざまなひねりが入るといいだろう。だが、そもそも「報道しない」という究極のひねりも効果がありそうだ。例えばCNNは、就任式後のホワイトハウスの会見の生中継を拒否した。

ホワイトハウスは会見の目的を事前に明らかにしていなかった。しかも、質問は受けないという。これは何かにおう。トランプに「フェイク(偽の)ニュース」と罵倒されていたCNNは、生中継を見合わせた。

【参考記事】トランプの「迷言女王」コンウェイ、イバンカの服宣伝で叱られる

記者会見の内容は、オバマ前大統領のときをかなり下回った就任式の聴衆の数が「史上最高」だったと言うためだった。結果的に、CNNは明らかな嘘を放送せずに済んだ。

トランプの時代には、メディアと政府の関係も変わっていくだろう。嘘を言うだけで、質問も受けない記者会見には、出席しないメディアが増えてもおかしくない。

メディアがトランプに振り回される日は、トランプが大統領の座にいる限り続くのだろう。しかしチャンスがあれば、ポピュリストに向けて投じるボールに、いくらかの変化をつけてみるのもいい。

[2017年2月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金正恩氏が列車で北京へ出発、3日に式典出席 韓国メ

ワールド

欧州委員長搭乗機でGPS使えず、ロシアの電波妨害か

ワールド

ガザ市で一段と戦車進める、イスラエル軍 空爆や砲撃

ワールド

ウクライナ元国会議長殺害、ロシアが関与と警察長官 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマンスも変える「頸部トレーニング」の真実とは?
  • 3
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シャロン・ストーンの過激衣装にネット衝撃
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    映画『K-POPガールズ! デーモン・ハンターズ』が世…
  • 6
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    就寝中に体の上を這い回る「危険生物」に気付いた女…
  • 9
    世界でも珍しい「日本の水泳授業」、消滅の危機にあ…
  • 10
    シャーロット王女とルイ王子の「きょうだい愛」の瞬…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中