最新記事

ペット

きょうだいよりもペットが大好き!子どもとペットとの強いつながりが明らかに

2017年2月6日(月)17時30分
松岡由希子

LUNAMARINA-iStock

<ケンブリッジ大学の研究によると、子供は兄弟姉妹よりもペットとの付き合いのほうが、満足感を得ていることがが明らかになったという...>

一般社団法人ペットフード協会によると、日本で飼育されている犬および猫の数は、2016年10月時点で推計1,972万頭。また、博報堂生活研究所の生活者に関する調査レポート『生活定点』(2016年)によると、「ペットも家族の一員だと思う」と回答した人の割合は、全体の54.5%を占めている。

このように、日本でも、犬猫に代表されるペットは、家族同然の極めて身近な存在だが、とりわけ子どもとペットとの絆は、実際、どのくらい強いのだろうか。

英ケンブリッジ大学家族研究センターのクレア・ヒューズ博士を中心とする研究チームは、ペットの栄養について研究するウォルサム研究所や経済学・社会科学の助成機関である経済・社会研究会議(ESRC)と共同で、このテーマに関する研究論文を『応用発達心理学ジャーナル(Journal of Applied Developmental Psychology)』に発表した。

この研究では、1頭以上のペットと兄弟姉妹のいずれかが1人以上がいる英国77世帯の12歳児を調査。その結果、兄弟姉妹よりもペットとの付き合いのほうが、充足感が高く、軋轢が少ないことが明らかになった。この背景について、ヒューズ博士は「ペットは、ヒトの言葉を完全に理解したり、言葉を話すことができない。それゆえ、ペットは中立的な存在となっており、子どもに高い充足感を与えているのではないか」と分析している。ペットなら、一方的に決めつけたり、批判したり、異を唱えたり、内緒話を漏らしたりすることもないというわけだ。

この調査結果によると、特に犬との関係は、他のペットに比べて充足感が高く、軋轢の程度も低いそう。また、女児のほうが、男児に比べて、ペットとの絆が強いが、衝突も多いことが示された。女児のほうが、ペットとより親密に関わるためではないかとみられている。

血縁でつながった兄弟姉妹よりもペットとの絆のほうが強いのならば、動物は、子どもの健全な成長に、何らかの影響を及ぼしうる存在なのかもしれない。たとえば、米オレゴン州立大学の研究論文では「子犬の世話をする子どもはソーシャルスキルが伸びる」とされている。このほか、子どもの成長において、ペットは長期的にどのような影響を与えているのだろうか。まだ科学的に解明できる余地がありそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米失業保険継続受給件数、10月18日週に8月以来の

ワールド

中国過剰生産、解決策なければEU市場を保護=独財務

ビジネス

MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに大規

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中