最新記事

アメリカ社会

トランプ大統領就任でアメリカの「分断」加速か

2017年1月23日(月)13時22分

1月23日、米ワシントンで22日、トランプ新大統領に抗議する女性らのデモが行われた。写真はワシントンで21日に行われたデモの様子。(2017年 ロイター/Adrees Latif)

 米ワシントンで22日、トランプ新大統領に抗議する女性らのデモが行われた。終了後、ホワイトハウスを取り巻く数ブロックには「愛は憎しみに勝つ」や「壁ではなく橋を築こう」と書かれたプラカードが散乱していた。

 その前日にも行われた大規模デモに参加したメアリー・フォスターさんは、トランプ支持者と反対派について「私たちの溝は一層深まっているような気がする」と指摘。ニューヨーク州から来たというフォスターさんは、皆が一致する物事がかつては多くあったが、今は中立という立場がなくなり、溝が広がっているように感じるという。

 これは米国人に広く共有されている考えだ。ピュー・リサーチ・センターが19日公表した調査によると、米国人の86%が昔より米国の政治的な分裂が広がっていると回答。オバマ前大統領の就任を控えた8年前の46%から急増した。

 多くの人は、こうした分裂がトランプ氏によってさらに悪化すると予想する。トランプ氏は22日、自身に対するデモについて「昨日の抗議活動を見たが、投票直後のような印象を感じた。この人たちはどうして投票しなかったんだ」と皮肉を込めてツイート。また、「いつも同意するわけではないが、自分の考えを表現する権利は認める」と投稿した。

 ロイターが取材したデモ参加者のほとんどが、大統領選でクリントン元国務長官に投票。大規模デモはクリントン氏が勝利したカリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ、マサチューセッツの各州とワシントンDCで行われた。

 トランプ氏は20日の就任演説で国民結束にはほとんど触れず、さびれた工場が立ち並び、犯罪にあえぐ国を「アメリカの殺りく」だと表現し、自身の支持者らに訴えた。

議会が状況を悪化

 大統領と連邦議会を共和党が占めたことから、政党間の溝は次回の議会選が行われる2年先まで深まるとみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

年内のEV購入検討する米消費者、前年から減少=調査

ワールド

イスラエル、ラファに追加部隊投入 「ハマス消耗」と

ビジネス

米ミーム株が早くも失速、21年ブームから状況に変化

ビジネス

保有ETFの処分、すぐに行うとは考えていない=植田
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇跡とは程遠い偉業

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    老化した脳、わずか半年の有酸素運動で若返る=「脳…

  • 6

    アメリカはどうでもよい...弾薬の供与停止も「進撃の…

  • 7

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

  • 8

    半分しか当たらない北朝鮮ミサイル、ロシアに供与と…

  • 9

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 10

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中