最新記事

日本社会

SNS炎上、アイドル熱愛発覚、ペットロス......生きがいを失う男たち

2016年12月23日(金)11時33分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


 郵便局員の裕也さん(41歳)は、あるアイドルを応援し、給料の大半をライブやCDに使い、SNSの書き込みを熱心に行うことが生活の中心になっていた。

 しかし、ある週刊誌にそのアイドルの熱愛スキャンダルが掲載されてしまう。「ファンを裏切るようなことはしない」「結婚するまでそういうことはしません」というアイドルの言葉を信じていた裕也さんは、気持ちの整理がつかず、仕事をズル休みするほどふさぎ込んでしまった。


 IT企業に務める康史さん(43歳)の趣味は、ペットの猫。毎日動画を撮影してネットにアップするほか、愛猫家のグループにも参加して交流を重ねていた。

 しかし、突然愛する猫が家を出て行方不明になり、康史さんはパニック状態に。ネットの掲示板や探偵を利用するなど、必死で探したが、何か月たっても見つからない。「猫は死にそうなとき自ら姿を消す」という都市伝説を信じるほど憔悴し、愛猫がいなくなった事実を受け入れられず苦しんでいた。

 3人のようなケース以外にも、「ケガでスポーツを断念した」「追いかけていたアーティストが解散した」「病気で料理やお酒が楽しめなくなった」など、突然趣味を失ってショックを受ける40〜50代の男性は多い。彼らの心境は、「生きがいを奪われた」「聖域を荒らされた」。しかも、ただ、ショックを受けるだけでなく、仕事のストレスを軽減できなくなった分、うつ状態になる人すらいるのだ。

 40代の独身男性が喪失感を抱えたまま、今後数十年の人生を生きるのは、みなさんの想像以上に辛いだけに、すぐにでも手を打ったほうがいいだろう。

 まずみなさんに覚えておいてほしいのは、「"生きがい"や"聖域"という感覚は、思い込みであり、行き過ぎている」こと。もともと、「ただ続けていただけ」のものにすぎず、実際「以前、生きがいや聖域だと思っていたものが、そうでないことに気づいた」という経験はないだろうか。第三者には、「あんなにハマっているのは今だけなんだろうな」と見えるし、そもそも衣食住それぞれに関わるさまざまな物がある中で、生きがいや聖域が1つだけであるはずがない。

 その観点から最大の処方箋になるのは、175ページに書いた"趣味の分散"理論。趣味を1つに集中させてしまうから思い入れが強くなりすぎ、依存してしまうわけであって、いい意味で気持ちを分散させれば、喪失感は限定的であり、自分でコントロールできる。こだわりやプライドではなく、割り切りも含めて考えなければ、残りの人生を笑顔で生き抜いていけないのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中