最新記事

ニュースデータ

女性と若手が校長になれない、日本の学校の旧態依然

2016年10月19日(水)16時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

Steve Debenport/iStock.

<女性と50歳未満の若年層から校長が選ばれる比率を先進国で比較してみると、日本と韓国は他国に比べて顕著に低い。日韓ともに男性優位、年功序列の傾向がはっきり表れている>

 教員にはさまざまな役職の階級があるが、そのトップは校長だ。校長は「校務をつかさどり、所属職員を監督する」ほか、職員会議を取り仕切るなど、大きな権限を与えられている。学校運営の成否は、校長のリーダーシップにかかっているといっても過言ではない。

 その校長には、どんな人がなっているのか。筆者の高校時代までを振り返ると、朝礼でありがたい講話をしてくださったのは、いつも白髪の紳士だった。全国的に見ても、校長の多くは年輩の男性教員だろう。

【参考記事】日本の公務員は先進国で最も少なく、収入レベルは突出して高い

 OECDの国際教員調査(TALIS 2013)のデータによると,日本の中学校校長の女性比率は6.1%となっている。中学校教員全体の女性比率(39.0%)と比べると著しく低い。女性が校長になれるチャンスは少ない、ということだ。

 女性が校長になるチャンスは、前者を後者で割って0.16という数値で測られる。昇進のチャンスが男女で等しいならば1.0になるが、現実はそうではない。年齢でみると、50歳未満の若年層からの校長輩出率はわずか0.02だ(1.5%/69.1%=0.02)。

 他国はどうだろうか。女性と若年層からの校長輩出率を主要国で比較すると、<表1>のようになる(ドイツはデータなし)。

maita161019-chart01.jpg

 日韓と欧米諸国の間に断絶が見られる。女性や若年層から校長が出にくいのは同じだが、日本と韓国はそれが顕著だ。

 女性が校長になるチャンスは、日本が最も低い。対してスウェーデンは高く、ブラジルのようにわずかだが女性のほうが校長になりやすい社会もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮

ワールド

トランプ氏誕生日に軍事パレード、6月14日 陸軍2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中