最新記事

映画

VR元年に攻める韓国、映画も没入感あふれる次世代上映が大ヒット

2016年9月9日(金)19時55分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

VRとも共存共栄を図る?

 さて冒頭で紹介した映画「ヒマラヤ」は、スクリーンX上映が行われただけでなく、今年「元年」とも言われているVR上映もサムスンとの共同イベントで成功させている。映画館でサムスン社のVRヘッドセットを装着し、映画の見どころである壮大で美しいヒマラヤの映像を、観客に2分間体験してもらうというコンセプトだ。270°のパノラマ映像が、VRでの鑑賞にちょうど適しているのである。


「ヒマラヤ」公開記念サムソンVRギアとのコラボ上映のようす

 映画業界の未来に明るい話題となったスクリーンXだが、問題点も指摘されている。代表的な否定的意見としては、「常に3面なわけではなく、ある一部の見せ場のみ突然3面での上映が始まるため、ストーリーに集中できない」というものだ。「ヒマラヤ」の場合でいうと雄大な自然を映し出したシーン、またアクション映画では立ち回りの見せ場だけが3面上映となり、今はまだ映画1本全編の3面展開は行っていない。観客の立場からすれば、3面になったり1面になったり、せわしなく感じてしまうのもうなずけるところだ。

 また、撮影時点ですでにCGV系列スクリーンX館での公開が確定しているビックバジェットの大作しかスクリーンXは適用できない。どんなに素晴らしい表現手法であっても、それを活用したい若手の監督には、まだまだ手が届かないのが現状だ。

 ただ、アニメーションに関しては事情が異なり、CGVは8月23日からスクリーンX上映用アニメーションの大々的な公募を発表した。多くの新しいアイディアと才能が発掘されるだろうと各業界から高い関心を集めている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 8
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 9
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 10
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中