最新記事

映画

VR元年に攻める韓国、映画も没入感あふれる次世代上映が大ヒット

2016年9月9日(金)19時55分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

busan.png

アニメーション出身のヨン・サンホ監督初の実写作品「釜山行」もスクリーンXに対応した作品。主演はコン・ユ。© CJエンターテインメント

 現在、スクリーンXが上映可能な映画館は、韓国内で83館。残念ながら日本にはまだスクリーンXを導入した映画館はオープンしていないが、海外ではタイをはじめ、中国、北米に23館設置されており、CGVは今後も拡大する予定だと発表している。

 4DXのような、大規模な館内の工事が不要というのもウリの1つである。元々ある映画館の壁とプロジェクター設置程度の改造ですむため、4DXなどに比べるとかなりコストを押さえて導入できる。

 さて、この映像を見ると、サイドの壁用の映像はどうやってメインスクリーン映像と合わせて撮影されたのか、撮影工程が気になる人も多いはずだ。答えは簡単。メイン映像とサイド2面の映像を同時に撮影すればいいのである。しかし、同じタイミングで撮影する技術は意外と難しく、この3台同時撮影用カメラは、韓国のKAIST(全ての授業を英語で行っている韓国初の研究中心の理工系国立大学院)との共同開発が行われて実現した。

 韓国で7月に公開され観客動員1000万人を超え現在も大ヒット中の映画「釜山行」の一部のシーンも、スクリーンX専用カメラで撮影され、臨場感あふれるスペクタクルな場面ではスクリーンXならではのクリエイティビティが生かされ好評を得ている。

 現在、スクリーンX対応映画の大半は制作費を抑えるために、通常のカメラで撮影後、編集作業で画面を3分割してスクリーンX映像に仕上げている。しかし、CGVの親会社にあたる映画会社CJグループは「釜山行」の大ヒットを受け「映画の企画段階からスクリーンX専用カメラで制作することを念頭におき、より迫力ある映像を作れるように努めていきたい」と語っている。


観客動員1000万人を超え、早くもハリウッドからのリメイクの誘いがきている大ヒット映画「釜山行」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

バイデン氏、建設労組の支持獲得 再選へ追い風

ビジネス

米耐久財コア受注、3月は0.2%増 第1四半期の設

ワールド

ロシア経済、悲観シナリオでは失速・ルーブル急落も=

ビジネス

ボーイング、7四半期ぶり減収 737事故の影響重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中