最新記事

2016米大統領選

大統領選の知られざる争い 候補者は自身の健康とどう戦い折り合うか

2016年9月19日(月)18時30分

 クリントン陣営の側近によれば、ここ数週間、ブルックリンの本部に詰めているスタッフ数人が病気になり、治療が必要になったという。

 カンザス大学で肺疾患の研究を専門とするスティーブン・シンプソン氏は、大統領選の候補たちは特に病気にかかりやすいと言う。

「普通の患者は、余裕があれば、その週は休んで職場へ完全復帰する」と同氏は言う。「だが、大統領候補にそうしろと言えるだろうか」

オバマ氏のハンカチ

 オバマ大統領は2008年8月、民主党の全国党大会直前に風邪をひいた。ユーチューブに掲載されている動画には、ある党員集会でクシャミをしているオバマ氏の姿が映っている。「だから私はハンカチを持ち歩いていた」とオバマ氏は言う。

「候補や陣営幹部はみな病気にかかる。だが何日も休むというわけにはいかない」とオバマ氏の元側近ダン・ファイファー氏は語る。「ビタミンCを取って、よく寝るよう努める。だが、これでは負け戦だ」

2008年の大統領選をオバマ氏と争ったジョン・マケイン氏の場合、遊説に医師の友人を帯同することがあった、と陣営幹部だったスティーブ・シュミット氏は話す。

「ホワイトハウスや大統領選の陣営で働く上での秘密の1つは、そこで出回っている薬の数が、これ以上ないほど、エルビス・プレスリーのツアーに近いものがあるということだ」とシュミット氏は言う。「常に、思いつく限りの抗生物質と風邪薬、ありとあらゆる薬を詰め込んだ大きなバッグを持ち歩いていた」

 2012年に共和党の大統領候補指名を受けたミット・ロムニー氏は、タンパで開催された共和党全国党大会で指名受諾演説を行う数日前に呼吸器系の疾患にかかった。

「喋ることさえできないのではないかと本当に心配した」とロムニー氏の上級顧問を務めていたスチュアート・スティーブンス氏は当時を振り返る。「医師たちは休めという。だがそんな暇はない」

過酷なスケジュールのせいで、スティーブンス氏自身も、2012年の選挙戦が終わった直後に肺炎を発症したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中