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中国、安倍首相のアフリカ訪問を警戒――日本を常任理事国入りさせてはならない!

2016年8月29日(月)18時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3. 中国が国連加盟に当たりアフリカを中心とした第三世界を開拓した成功例から学び、中国の真似をしてアフリカを味方につけて国連決議の際の有利な環境づくりをもくろんでいるようだが、国連というものが、いかにして誕生したのかを反省するといい。国連は日本自らが起こした戦争の戦後秩序を形成するために設立されたもので、もしその日本が国連の安保理常任理事国に加盟しようとしたら、国連憲章を改正しなければならない。中国が常任理事国として拒否権を行使することを、日本は忘れているのだろうか?

4. 日本は国連の精神とは逆の方向に動き、安保関連法案や日本国憲法改正など、再び軍国主義への道を歩もうとしている。そのような日本に常任理事国入りする資格など、そもそもないことを肝に銘じておくべきだ。

中国のネットも反日的

 こういった論調に対して、中国のネットユーザーも同調し「解鈴系鈴人」という故事を使って非難する人もいる。これは「虎の首に鈴をつけた人こそ、その鈴を取り外せる人だ」という意味で、転じて「問題を起こした人が、その問題を解決すべきである」という警句として使われている。「もう一度戦争を起こせば、新しい国際秩序を形成するための組織ができるから、常任理事国入りしたければ、日本はもう一度戦争を起こすしかないだろう」といったコメントが続く。

 ネットコメントは、今回は批判的なものばかりで、日本が常任理事国入りを目指せば、中国で激しい反応が起こるであろうことを予知させるものである。小泉政権の時に、アメリカのサンフランシスコ発の抗議運動として、中国全土に激しい反日デモを巻き起こしたことがあるが、そのスケールのものが待ち受けていることを警戒した方がいい。

中国には実は「国連」を論じる資格はない

 中国のこういった論理展開に対して、一見、日本は弱い立場にあるように見えるかもしれないが、実は中国にこそ、国連に関してものを言う資格はないのである。

 なぜなら中華人民共和国は、日中戦争中に日本軍と共謀して強大化した中共軍によって誕生した国だからだ。日中戦争を真正面から戦っていた「中華民国」蒋介石の国民党の軍事情報を日本側に高値で売り付け、国民党軍の弱体化に専念してきた。そのため毛沢東は多くの中共スパイを日本の外務省管轄下の「岩井公館」に潜り込ませ、中共軍と日本軍の部分停戦まで申し込んで、ひたすら中共軍の強大化に全力を注いでいた。

 軍事情報を日本側に売りつけることによって、「中華民族を裏切っていた」のである。

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