最新記事

イギリス経済

イギリス銀行業界は高リスク融資拡大競争へ突入、財務懸念が浮上

2016年8月18日(木)18時47分

8月16日、英国の銀行業界では、よりリスクの高い分野で新規融資拡大に向けた競争が激しさを増している。写真はイングランド銀行の正面ホール床にある英ポンドを表すモザイク。ロンドンで2008年3月撮影(2016年 ロイター/Luke Macgregor)

 英国の銀行業界では、よりリスクの高い分野で新規融資拡大に向けた競争が激しさを増している。国民投票における欧州連合(EU)離脱派勝利で景気後退の恐れ強まったことを受け、借り入れをためらうようになった顧客を取り込む必要がある上に、超低金利下で収益を確保しなければならないからだ。

 HSBCやロイズ・バンキング・グループ、バークレイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)といった大手だけでなく、より規模の小さい銀行も新規融資のキャンペーンを積極的に推進している。

 銀行が打ち出したのは、クレジットカードなどの無担保融資や新興企業向け融資を強化する方針。伝統的な収益源となっていた商業融資や住宅ローンは国民投票前から需要が落ち込んでいたためだ。

 ただ、経済の先行き不透明感が広がる中でこうした高リスク融資に一斉に乗り出していることで、一部の銀行の長期的な財務基盤が危うくなるのではないかと警鐘が鳴らされている。

 ペンバートン・キャピタル・アドバイザーズのマネジングパートナー、サイモン・ドレーク・ブロックマン氏は「この手の戦略はしばしば高い代償がつくことが証明されている。なぜなら景気後退のショックに見舞われれば、これらの多くの融資は焦げ付くからだ」と指摘した。

 英消費者の債務は既に相当膨らんでおり、業界データによるとクレジットカード融資残高は昨年末時点で630億ポンドと2014年末の610億ポンドから増加。今年7月には英金融行動監視機構(FCA)が、クレジットカード借り入れについてその規模と性質などについて懸念を示した。

 それでも銀行は、増益を望む株主と景気回復を目指す政府の双方から融資拡大を迫られている。

 こうした中で中小企業向け融資促進策として例えばHSBCはウェブサイトで、従来年7.9%としていた手数料を除く適用金利を最低年5.9%に設定した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、本社機能を東京・八重洲の再開発地区に移転へ

ワールド

韓国、AI主導の成長促進へ大幅歳出拡大へ 25年比

ワールド

大統領令発出までに、少なくともあと1回は訪米必要=

ビジネス

米ダラー・ゼネラルが売上高見通し上方修正、消費者の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    米ロ首脳会談の後、プーチンが「尻尾を振る相手」...…
  • 10
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中