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ヘイトスピーチを見逃すから極右が伸長する

2015年12月18日(金)17時04分
H・A・ヘリヤー(中東・イスラム問題専門家)

 チェコでは先月にゼマン大統領が反イスラム集会に出席し、結果としてその正当性を認めることになった。ハンガリーでも、オルバン首相が反イスラムの論調に肩入れをしている。

 イギリスのキャメロン首相すら、難民・移民について「人の群れ」という極右派が用いそうな言葉を発した。要はイスラム教徒に対する偏見が容認されるような雰囲気が広がっている。

 排外主義の偏狭さを最初からもっと白日の下にさらす努力をしていれば、こんなことにはならなかっただろう。歴史的に差別問題に敏感なドイツでさえも、反イスラム政治運動が激化しかけていることが懸念される。

 トランプはまさか本気でイスラム教徒の入国を禁止できるとは思っていないだろう。ただ大政党の最有力候補がそんな政策を打ち出せるようでは、既に米政界の「中道」は右へ寄ったも同然だ。反イスラムの偏見は米政界の主流派にも蔓延しかねない。

© 2015, Slate

[2015年12月22日号掲載]

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