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焦点:中東産原油に依存するアジア、代替の選択肢は限定的

2026年03月09日(月)12時28分

ソウルのガソリンスタンドで撮影。REUTERS/Kim Hong-Ji

Florence Tan

[シン‌ガポール 6日 ロイター] - 中東での戦争勃発による未曽有のエネルギー‌供給寸断を受け、アジアのエネルギー輸入国は中東以外の調達先確保に奔走している。​しかし、中東産原油への依存を減らすための長期的かつ現実的な選択肢は限られているのが実態だ。

世界最大の原油輸入地域であるアジアは、原油および⁠石油化学原料の60%を中東に依存している。米国・​イスラエルによる対イラン攻撃で始まった戦争は世界のエネルギー価格を押し上げており、インフレを加速させ経済成長に打撃を及ぼす恐れがある。

中東産原油を受け取れなくなった中国から東南アジアに至る製油所は、到着までに数週間から数カ月を要する高価な代替原油を探しており、一部は減産に踏み切っている。中国とタイは石油製品の輸出を停止し、ベトナムは通常オーストラリアへ向かう原油の輸出を差し⁠止めた。

だが、代替的な調達先には距離、製油所の形態、長期契約、コストといった障壁がある。

一例として西アフリカや米大陸から中国への石油輸送には1カ月半から2カ月を要するため、3カ月前に発注する必要がある。これに対し、ホ⁠ルムズ海​峡を経由して中国に到着するまでの期間は約25日だ。

また、油種を変更すると製油所での製品得率(元の原油量に対する石油製品の生産割合)が変わるため、運営方法を変更する必要がある。

コンサルタント会社サリー・クリーン・エナジーのアディ・イムシロビッチ代表は「新しい油種を製油所に投入する場合、カットオフポイント(原油を各製品に分ける境界温度)を変更し、ガソリンのブレンドも調整する必要がある。変えるべきことは多く、重労働だ」と説明。「多くの国で(調達源の)多角化が進んでいないのはこのためだ」と語った。

エネルギー・アスペクツのアナリスト、リ⁠チャード・ジョーンズ氏は、一部の政府は微調整としての多角化を模索するかもしれないもの‌の、アジアの多くの製油所は中東との長期契約に縛られているとして「端的に言えば、アジアに到着する中東産原油、日量約1600万バレル⁠を、大西洋盆⁠地(米大陸やアフリカ)の供給で代替することは一部であれ不可能だ」と指摘する。

<アジア各国の現状>

日本は、ロシアのウクライナ侵攻後にロシア産原油の輸入をほぼ全て停止して以来、石油の95%を中東に依存している。製油所は中東産原油に最適化された老朽設備が多い。ガソリン需要が減少しているため、製油所はカナダの重質油(TMX)など新たな油種に対応するための設備投資には消極的だった。

Kplerのシニアアナリスト、ムユ・シュー氏によれば、日本の製‌油所は軽質の米国産標準油種(WTI)や西アフリカ産を米大陸の重質油とブレンドし、中東産の「中質原油」の特性に​近づける方法‌を探るかもしれない。ただ「物流の複雑⁠さと製油所の運用リスクが課題だ」という。

日本は短期的​には約250日分の備蓄を取り崩すことができる。

中国の備蓄は約78日分と少なめだが、供給元は日本より分散されている。中東からは約半分を調達しているが、欧米の制裁下にあるロシアからも購入を続けており、主要産油国とも取引がある。

インドの備蓄はわずか25日分で、55%を近場の中東に依存しており、代替的な調達先確保に必死だ。米国はこのほどインドへの規制を緩和し、ロシア産原油の購入を1カ月間免除した。

<太陽光パネルを買え>

液化天然ガス(LNG)市場は石油よりずっと小さく、さらに逼迫している。‌世界第2位の生産国カタールが戦争のため生産を停止したことの影響は素早く現れ、インドでは産業用顧客への天然ガス配給制限が始まった。

オックスフォード・エネルギー研究所のマイケル・メイダン中国エネルギー研究責任者は、​この状況が燃料転換や需要の破壊を招く可能性があるとして「長期的⁠には、南アジア諸国はエネルギー構成における天然ガスの割合を制限し、石炭と再生可能エネルギーに依存する中国モデルに追随する可能性がある」と話した。

シンガポールを拠点とするエッジ・リサーチの創設者ティム・チャン氏は、アジアは再生可能エネルギーや原子力などの​非化石燃料の割合を増やすか、従来の燃料調達源を多角化する可能性があるとの見方を示す。

イムシロビッチ氏は、供給の寸断が長期化すれば、各国政府は中東エネルギーへの依存を根本から再考すると予想する。その上で「これはアジア通貨危機のような衝撃になるだろう。間違いなく真剣に考え直す必要がある。日照の多いアジアなら、太陽光パネルを設置して電気自動車(EV)を買うこと。それで解決だ」と語った。

ロイター
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