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総選挙

変化の風に揺れる強権国家シンガポール

2015年9月10日(木)17時00分
トム・ベナー

 同性愛を禁止する法律への反発も強まっている。同性愛など性的少数者への理解を深めるための年1回のイベント「ピンク・ドット」への参加者も、今年は史上最高を記録した。

 政府は、問題の法律は実際には執行されないとの立場を示しているが、これは超保守的な層からの批判を避けつつ、世論の反発に応えたものだ。

 政府は外国人の受け入れを増やすなどして、30年までに全人口を25%増の650万~690万人にする方針を示している。だがネット上では、外国人労働者への依存や住宅コストの急騰、インフラ整備の遅れや収入格差の拡大といった問題に対する人々の不満が噴き出している。

 徐々にだが規制緩和が進む背景には、政府に対する国民の不満が無視できないほど高まってきたことがある。前回(11年)の総選挙では、建国以来半世紀にわたりこの国を治めてきた人民行動党の得票率が過去最低を記録した。今月11日には再び総選挙が行われる。さらなる変化を求める世論は、この国の政治をどこまで動かすのだろうか。

From GlobalPost.com特約

[2015年9月15日号掲載]

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