最新記事

核兵器

「核保有国」北朝鮮の5年後

5年後には日本だけでなくアメリカにも核ミサイルが飛んできかねないと米研究

2015年4月7日(火)16時21分
シャノン・ティエジー

核交渉は失敗 大陸間弾道ミサイルの開発も着々と進んでいるようだ(2012年の軍事パレード) KCNA-Reuters

 北朝鮮が核備蓄を着々と増やしている。最悪の場合、5年後には100発もの核弾頭を保有している可能性があるという。

 この予測は先週、米ジョンズ・ホプキンズ大学米韓研究所と米国防大学の共同研究プロジェクト「北朝鮮の核の未来」が示したもの。それによると、昨年末の時点で北朝鮮が保有していた核弾頭は10〜16発で、20年までの開発動向としては3つのシナリオが考えられる。

 まず、開発が最も遅いシナリオ。新たな核実験もミサイル発射実験も行われないが、核弾頭は20発に増える。

 第2のシナリオは従来と同じ開発ペースで、核弾頭は50発まで増える。中距離弾道ミサイル(IRBM)や、場合によっては大陸間弾道ミサイル(ICBM)への実装も可能になる。

 第3のシナリオでは核とミサイルの開発が急速に進み、核弾頭の備蓄は100発、ICBMは20〜30基に達する恐れがある。

 報告書はさらに、北朝鮮が既に核弾頭をミサイルに実装する小型化技術を獲得していると指摘。ということは、5年後には日本だけでなくアメリカにも北朝鮮の核ミサイルが飛んでくる可能性がある。

 これで従来の核交渉が失敗だったことがはっきりした。アメリカ(と国連)は、北朝鮮に経済制裁をちらつかせて、核開発続行か経済発展かを迫ってきた。だが、「北朝鮮は選択する必要がない。両方手にしているのだから」と、米韓研究所のジョエル・ウィット研究員は語る。

 ロシア、中国、ASEAN諸国などの周辺国は、北朝鮮と正常な政治経済関係を築いている。おかげで北朝鮮は、核開発とミサイル開発に必要なインフラをひと通り完成させた。ここから先の開発のコストは「さほど大きくない」と、核問題専門家で元国連査察官のデービッド・オルブライトは指摘する。

 だとすれば、核備蓄拡大に向けた北朝鮮の野望をくじくのは、ますます難しくなりそうだ。

From thediplomat.com

[2015年3月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

イラン情勢注視続く、FRB金利見通しも焦点=今週の

ワールド

イスラエル、レバノンと数日内に協議へ ヒズボラと戦

ワールド

北朝鮮の金総書記、多連装ロケット砲の発射訓練視察=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 5
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 9
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 10
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中