最新記事

イギリス

独立スコットランドを待つ厳しい現実

イギリスからの独立が現実味を帯びるスコットランドだが、待っているのはバラ色の未来だけではない

2014年9月16日(火)18時50分
リアナ・ブリンデッド

大詰め 18日の住民投票に向け、独立に「イエス」を呼びかけるプラカード Cathal McNaughton-Reuters

 今月18日に迫った住民投票でスコットランドの有権者たちが独立を選んだ場合、新たな独立国には大きな経済的負担がのしかかりそうだ。307年間に及ぶイングランドとの連合を解消することで政府の借入コストが上昇し、所得税が増税される一方で、政府は新たに10億ポンドもの債務を抱えることになるとみられる。

 ある調査によれば、独立したスコットランドが現状の経済環境下で国債を発行すれば、利回りはイギリス国債の2.54に対して3.07になるという。さらに、この0.53という利回りの差(スプレッド)によってスコットランド政府は資金調達のコストがかさみ、財政赤字が拡大すると予想される。

 その分を穴埋めするには、所得税を大幅に引き上げたり、酒税を倍にしたりするなどの手段が必要になるだろう。

「独立国として資金調達するには、これまで以上のコストがかかる」と、今回の調査を行った団体「バランス・ザ・ブックス」の責任者であるアダム・カービーは言う。

 これは避けて通ることのできない課題だ。スコットランド独立によって一時的に混乱が生じても、いずれは政治・経済的に安定するだろう。だがそうなった後も、規模の小さな国ほど借入のコストが高くなるという事実は変わらない。

「逆にイギリスの一部にとどまれば、民間の債務も政府債務も返済時の金利は安くなる」とカービーは言う。増税する必要はなく、住宅ローンは上がらず、公共サービスも高い水準のものが維持される。「連帯には、独立という魔法では生み出すことのできないメリットがある。(イギリスとして)資金調達できるのだから」

「スコットランドは現時点で、税収よりはるかに多くの歳出を行っている」と、カービーは言う。北海油田から得られる収入をスコットランドが手にしたとしても、その状況は変わらない。「イギリスに残れば、10億ポンド分の緊縮財政を行わなくてすむ」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル、ユーロ・スイスフランに対し上昇

ワールド

米財務長官、ベネズエラ制裁の選択的解除と石油資産監

ワールド

グリーンランド巡るトランプ氏発言、欧州は真剣に受け

ビジネス

FRB追加利下げ限定的、インフレ率は目標上回って推
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中