最新記事

ペット

韓国が輸出する超小型犬の悲劇

2014年8月6日(水)12時01分
ジェフリー・ケイン

書類偽造し幼い犬を販売

 法を犯して韓国から子犬を輸入するのは、アンダーソンだけではない。12年にはカリフォルニア州の業者ジンジャー・トゥルクが子犬の健康診断書で獣医師のサインを偽造したとして有罪判決を受けた。彼の輸入した韓国産の子犬の多くは、購入した飼い主の元に送られる途中、排泄物を介して蔓延しやすい犬パルボウイルス感染症で死んだという。

 当時トゥルクの会社は、韓国国外への子犬輸出で韓国最大規模のオンラインショップと称する「ジュン・パピークラブ」の商品をアメリカで独占的に扱っていると、ウェブサイトでうたっていた。

 そこで、ジュン・パピークラブに尋ねてみた。韓国から輸出された子犬がパルボウイルスで死んだ場合、韓国の会社の責任になるのか、と。同社を経営するジュン・ミンスは、韓国の空港の厳密な検疫を考えればそんな事態は「あり得ない」と回答した。

 韓国がティーカップ犬の輸出大国になる以前から、メキシコやロシア、ハンガリーなどの国々では幼過ぎる子犬を輸入することに懸念が持ち上がっていたと、アメリカ動物愛護協会は指摘する。「子犬は幼いほど高値で売れる。生後4週間ほどの子犬が6〜8週と称して売られているとみられる」と、パピーミル問題の責任者キャスリーン・サマーズは言う。

 米疾病対策センター(CDC)は今年5月、輸入される子犬のうち、狂犬病予防接種の証明に不備があるものが増えていると警告を発している。ロサンゼルス国際空港で行われた獣医師による抜き打ち検査でも、40%の子犬の書類で偽造が見られた。子犬はどれも生後8週間以内で、まだ歯も生えていなければ効果的な予防接種も受けられないほど幼かったという。

 リッチな人々にアクセサリー代わりに愛されるティーカップ犬の境遇は、セレブとは程遠いようだ。

From GlobalPost.com特約

[2014年7月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍

ワールド

米、台湾への武器売却を承認 ハイマースなど過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中