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タイの水産業にはびこる奴隷労働と「屑魚」

2014年6月19日(木)15時42分
パトリック・ウィン

 魚が水揚げされてからスーパーの店頭に並ぶまでプロセスを、当局が監督したり取り締まったりする仕組みは存在しない。卸業者などが間に入り、流通プロセスが闇につつまれているため、水産食品企業は自社製品が強制労働に頼っていないと断言できないでいる。

 一般消費者が奴隷労働や屑魚による海産物を避けるには、次の3つの製品に注意が必要だ。

■エビ アメリカにとってタイはエビの最大の供給国。奴隷労働者らがエビの養殖そのものに従事しているわけではないが、エビの餌には屑魚が使われている。

■魚醤 琥珀色でいい香りがする魚醤は屑魚から作られる。多くのアジアの国で、欧米家庭における塩のように身近な存在だ。
 
■魚油サプリ オメガ3脂肪酸が採れると人気の魚油サプリメントにも、屑魚が使われている場合がある。一般的に使われるのはサバとイワシで、これらはタイの奴隷労働船でよく水揚げされている。

 一連の問題を糾弾しているイギリスのNPO、環境公正財団(EJF)は今後、奴隷労働による海産物と工場の関係も調査していくとしている。「巨大市場の消費者たちは、奴隷労働に頼った商品など食べたくないだろう」と、EJFの幹部であるスティーブ・トレントは語っている。

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