最新記事

中国社会

中国のハデ婚は汚職の温床

豪華な披露宴には高級車や高級車などのご祝儀が付き物。贈収賄や不正蓄財の抜け道として使われてきたが。

2014年5月8日(木)15時17分
ミシェル・フロルクルス

腐敗撲滅 豪勢な結婚式はこれで見納め? Bobby Yip-Reuters

 結婚式や葬式を行う場合は、事前に許可を得ること──。中国南部・広東省の共産党規律検査委員会が省の公務員たちに対して、そんな規則を発表した。

 地元紙によれば、省規律委は党員の浪費に対する取り締まりを強めており、今回の新規則もその一環だ(中国では公務員のほとんどが共産党員)。

 今後はあらゆるレベルの役人が、大掛かりな私的行事に際しては少なくとも10日前までに、計画や支出内容について報告しなければならない。さらに全費用を年間報告書で申告する必要があり、同僚がそうした行事に参加することも禁じられる。

 汚職などを監督する機関である規律検査委員会は、これらの規則によって倹約の風潮が生まれることを期待している。

 同委員会は、規則違反の内容を分かりやすくするため「4つの禁止事項」を発表した。

1)仕事の関係者を客に招かない。

2)仕事で関わりのある人物から贈り物や現金を受け取らない。

3)公費を使わない。

4)豪華な式を行わない。

 広東省の動きは、共産党の汚職撲滅を掲げる中央政府と軌を一にするものだ。習近平(シー・チーピン)国家主席は昨年3月の就任以降、党内のあらゆる階層にいる汚職幹部を一掃するため、浪費に対する締め付けを強めている。金遣いの荒さは不正行為と強い相関関係があるからだ。新しい家といった高価な物から、月餅などのささやかな品々まであらゆる支出が詳細に調べられている。

 結婚式は特に腐敗の温床になってきた。豪勢な式や披露宴には、高級車や高級酒などの贈答品や祝儀が付き物。こういったプレゼントが贈収賄や不正蓄財の抜け道として使われてきた。

 実際、北京の新聞によれば、倹約を求める規則に反したとして12年に捜査を受けた役人のうち、17%は豪華な結婚式を挙げていた。ある重慶の役人は、息子の結婚式に出席した人々から現金で200万元(約3200万円)を受け取ったという。

 「トラもハエもすべてたたく」と言った習の汚職撲滅キャンペーンの次の標的は?

[2014年4月22日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石油価格、過剰な生産能力が制裁の影響を限定=IEA

ビジネス

HSBC、第3四半期税引き前利益14%減 訴訟関連

ワールド

ベセント氏、健全な金融政策策定が重要な役割 日米財

ワールド

インド製油所、ロ産原油の新規発注見送り 制裁発表受
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 7
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中