最新記事

中国経済

温家宝「四大国営銀行は分割せよ」

四大銀行が金融市場を牛耳る中国で、大銀行をぶっ壊せと温家宝首相が共産党に挑戦状を叩きつけた理由

2012年4月4日(水)16時09分
サマンサ・スタインバーン

巨大企業 4大国営銀行による寡占状態には多くの弊害が(写真は中国建設銀行) Jason Lee-Reuters

 中国の肥大化した国営銀行は影響力を持ち過ぎだ。解体したほうがいい――中国の国営ラジオが温家宝首相は4月3日、地方の企業家に対してこう語った。

 国営ラジオ局が報じたところでは、温は次のようにも語った。「正直に言って、わが国の銀行は楽して儲け過ぎだ。なぜか。数少ない大銀行が市場を独占し、カネを借りたい人は誰でも国営銀行に頼らざるをえないからだ」

 温はさらにこう主張した。「今、われわれは金融部門に民間資本を呼び込もうと取り組んでいる。今こそ大銀行の独占を打ち破らなければならない」

 ニューヨーク・タイムズ紙は、温の発言についてこう紹介している。


 中国南部を訪問中に温が発言したこの言葉は、これまでになく大胆なものだった。共産党指導部に対し、金融システムの改革をもっと加速するよう、面と向かって挑戦状を叩きつけたようなものだ。


銀行を頼れず闇金に走る

 中国の金融資産の大部分を保有する4大国営銀行は非常に収益性が高い。その反面、貯蓄口座を持つ個人はわずかな金利しか受け取れず、起業家たちは多くの国営銀行では融資が受けられない、と不満をこぼす。

 国営銀行から良い条件でカネを借りられないことは、大きな弊害も招いている。経済技術開発区に指定されている「起業の街」浙江省温州市では昨年末、起業家たちの失踪や自殺が相次いだ。闇金業者から借りた高金利のローンが返せなくなったためだ。中国の中央銀行である中国人民銀行の統計では、国内の融資のうち5.6%は非合法なものだという。

 先週、中国国務院は中小企業がより簡単に低金利で資金を調達できるようにするため、試験的な計画を認可した。温州市の民間投資家たちは、ローン会社や地方銀行のような金融機関を設立することができるようになる。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米FTC、メタの独禁法裁判で控訴へ インスタグラム

ビジネス

カタール投資庁とゴールドマン、提携拡大へ 投資目標

ビジネス

米3M、通期利益見通しが予想下回る 10-12月期

ワールド

再送トランプ氏、機関投資家の一戸建て住宅購入制限へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 4
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生…
  • 5
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中