最新記事

カンボジア

ポル・ポト派No.2はまだ英雄気取り

200万人もの自国民を虐殺したポル・ポト政権の元幹部に反省の色は見られない

2011年11月24日(木)17時52分
パトリック・ウィン

変わらぬ主張 ポル・ポト政権ナンバー2のヌオン・チアは特別法廷で虐殺の正当性を主張した Mark Peters-ECCC-Reuters

 1975〜79年にカンボジアのポル・ポト政権下で殺害された犠牲者は、実に200万人近い。大量虐殺を主導したとされる当時の幹部らを裁く特別法廷の本格審理が先日、首都プノンペンで始まった。だが30年以上を経た今も、政権ナンバー2だったヌオン・チア元人民代表議会議長の口から謝罪の言葉が聞かれることはなさそうだ。

「クメール・ルージュ(赤いクメール)」の名で知られた共産党政権によるカンボジア国民の大量虐殺は世界中の知るところだ。しかしチアは85歳になった今も、自分を共産革命の英雄だと考えている。

 特別法廷の審理に出廷したチアは、「植民地主義と侵略行為、そして国土を奪ってカンボジアを地球上から抹殺しようとする泥棒どもの圧制から祖国を解放するために、私は家族を置いて戦わなければならなかった」と語った。

 さらにチアは、ポル・ポト政権下で行われた拷問と虐殺は必要な行為だったとも主張した。

 90分間に及ぶ法廷での証言で、チアは残虐行為の大半をベトナム工作員のせいにした。ベトナム軍は79年にポル・ポト政権を倒し、その後10年間にわたってカンボジアを占領した。

「同志ナンバー2」という呼び名で知られるチアは、虐殺をこんな例えで正当化したという。「人々がワニについて語るときは胴体の話ばかりして、日常生活で大切な頭や尻尾の話はしない。我々は悪い連中しか殺していない。良い奴は殺していない」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ中銀が0.25%利下げ、追加緩和検討を示唆

ビジネス

米国株式市場=下落、ハイテク企業のバリュエーション

ワールド

エジプト、ハマスに武装解除を提案 安全な通行と引き

ワールド

トランプ氏、関税「プランB必要」 違憲判決に備え代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 5
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 8
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 9
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 10
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中