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胡錦濤の保身が生む「弾圧の季節」

来年秋の政権交代を前に失点を極度に恐れる指導部が抑圧を強化したのか

2011年6月29日(水)11時13分
長岡義博(本誌記者)

警察国家 今年の中国の治安関係予算は軍事費を上回る額に膨れ上がった Jason Lee-Reuters

 30年以上前に経済開放を受け入れた中国は、かたくなに市場経済を拒む隣国の北朝鮮よりずっと理性的な国だとみられている。だがその中国にも、いったん批判されるとまるで北朝鮮のようにヒステリックな態度で反論に出るテーマがある。人権だ。

 今年5月、ヒラリー・クリントン米国務長官が米誌のインタビューで中東での「アラブの春」以後悪化する中国の人権状況について「彼らは歴史の流れを止めようとしているが、それは徒労に終わる」と発言。すると共産党機関紙系の環球時報は「『徒労に終わる』という表現は外交的に失礼」とかみついた。

 人権批判に対する中国の反発は今に始まった話ではない。北京五輪を控えた08年3月、米国務省が報告書で「人権侵害が拡大している」と批判すると、外相は「ダブルスタンダード」「内政干渉」と猛反撃した。

 ただ今回、環球時報は人権問題そのものには強く反論せず、「中国の人権状況は既に大きく改善している」という外務省幹部のお決まりのコメントを紹介しただけだった。...本文続く

──ここから先は6月29日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年7月6日号をご覧ください。
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今週のカバー特集は、「弾圧大国 中国の闇」
■著名な芸術家で反体制活動家の艾未未(アイ・ウェイウェイ)が11週間ぶりに釈放されたが、目に恐怖の色を浮かべ、当局に止められているからと多くを語らず、別人のようだった。天安門事件以来過酷な弾圧を行う中国共産党と「収容所国家」の知られざる実態について、北京支局長のメリンダ・リウがリポートします。
■胡錦濤の保身が生む「弾圧の季節」
■中国とリビアの悩ましい関係

他にも
■「50歳」のダイアナ
7月1日で50歳になるイギリスの故ダイアナ元妃がもし存命だったら──ダイアナの伝記の著者でもある本誌米国版編集長がダイアナが世界をどう変えていたかに思いをめぐらす
■激動の上半期を総チェック
日本の震災からビンラディン殺害、ウィリアム王子の結婚まで、今年前半の事件を総ざらい
■殺し屋クルーニーにあげたい残念賞、ほか
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[2011年7月 6日号掲載]

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