最新記事

結婚

ついに恋愛結婚を受け入れた英王室

ダイアナには許されなかった恋人付き合いを経てウィリアム王子と婚約したケイト・ミドルトンは、英王室初の現代型プリンセスになる

2010年11月17日(水)16時50分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン支局長)

異例づくめ 大学教育を受けている点も、ケイトはダイアナと違う Suzanne Plunkett-Reuters

 彼女はカメラ映えし、過去にスキャンダルはなく、本格的な職歴もない。あの人との共通点はここまでだ。11月16日にイギリスのウィリアム王子との婚約が発表されたケイト・ミドルトンは、そのほかのほとんどすべての点において、かの若きロイヤルプリンセスとは異なっている。

 故ダイアナ元妃とチャールズ皇太子の1981年の結婚がイギリス王室の結婚の「正統」に回帰するものだとするならば、今回のケイトのケースはまさに21世紀型といえるかもしれない。

 ダイアナとケイトは、その出自と家柄からして違う。確かにケイトは上流階級の寄宿学校で学び、両親はイギリスの田舎に立派な家を所有している。だが彼女は貴族などではない。

 ダイアナ元妃は伯爵家の大邸宅で生まれ育ち、イギリス全土のほぼすべての貴族と血縁関係を持つような血統の持ち主。対するケイトの母は航空会社の元客室乗務員で、父は玩具やゲームの通信販売業で財を成した実業家だ(現在、ケイトはこの事業を手伝ってもいる)。

 大学教育を受けている点も異なる。現在28歳のケイトは、英国王室初となる、学位を持つ王妃になりそうだ。彼女が通ったのはスコットランドのセントアンドリュース大学。豊かでそれほど学業優秀ではないイギリス人に人気の学校だ。彼女はここでウィリアムと出会った(慈善ファッションショーのモデルになってセクシーなネグリジェ姿を披露した彼女に、ウィリアムが一目ぼれしたという)。

 対照的にダイアナは、女子にとって大学教育はさして重要ではない、と考える上流階級の最後の世代に属していた。自らの身分と時代の流れに従い、ダイアナはケイトよりも正統派の道を歩んだ。ロンドンに数年間滞在し、上流家庭向けの保育園で保育士として働き、それから結婚したのだ。

古い慣習と対立し続けた王族の恋愛問題

 だがケイトがダイアナと何より異なっているのは、王子と本質的な「恋人付き合い」をしていたことだろう。王位継承者に嫁いできたこれまでのすべての女性たちと同じく、ダイアナもまた過去の恋愛歴などないままに結婚した。明確な方針が語られることはなかったものの、当時の英王室はまだ、王位継承者の妻には過去に男性と付き合ったことのない処女を迎えたいと考えていた。

 そんな過去ももう歴史の遺物だ。これまでの例から考えればずっと幸運なことに、ケイト・ミドルトンはウィリアムと普通の恋愛関係をはぐくんできた。大学時代には他の友人も交え、アパートの同じ屋根の下で共同生活を経験。それ以来ケイトは、王家に嫁ぐ女性という立場からすれば十分すぎるほど、普通のカップルに近い付き合いを楽しんできた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ予算委、500億ユーロ超の防衛契約承認 過去

ビジネス

「空飛ぶタクシー」の米ジョビ―、生産能力倍増へ 

ビジネス

ドイツ経済、26年は国内主導の回復に転換へ=IMK

ワールド

豪首相、ヘイトスピーチ対策強化を約束 ボンダイビー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中