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ギリシャが頼るチャイナマネー

2010年10月15日(金)15時35分
シュテファン・タイル(ベルリン特派員)

 EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)から1400億ドルの支援を受けたギリシャに、新たなスポンサーが付いた。中国だ。

 中国は対ギリシャ投資を大幅に増やしている。最近では、ギリシャの港湾の経営権を35年の期限付きで取得するなど、海運事業に50億ドルを投資。建設や通信、観光、鉄道にも投資を行う上、290トンのオリーブオイルも買い付ける。ギリシャを訪問した温家宝(ウエン・チアパオ)首相は、政府債の購入を約束。おかげで先週、ユーロの対ドル相場は8カ月ぶりの高値を付けた。

 ギリシャに限らず、中国は活発にグローバル戦略を進めている。04年に100億ドル足らずだった対外投資は今年500億ドルに達し、世界第5位の投資大国となる見込みだ。特にEUへの進出が目覚ましく、中国企業の対EU投資は対北米投資の約2倍に上る。

 EUはチャイナマネーの恩恵を受けている。中国企業の進出で雇用や技術が奪われるという懸念はほぼ杞憂に終わり、むしろ産業基盤が強化される効果が大きい。

 中国は政治的にも抜け目ない。EU各国と2国間で契約を交わすことによって、各国が異なる利害を持つことになり、EU全体の対中国政策はまとまりにくくなる。EUが結束して中国に圧力をかける事態を避けられるというわけだ。

[2010年10月20日号掲載]

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