最新記事

原油採掘

冷めない油田の開発フィーバー

2010年6月18日(金)14時50分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ支局)

 メキシコ湾で原油が海中に流出し続ける惨状をみれば、業界関係者はさぞ肩身の狭い思いでいるだろう......などと想像したら大間違い。現実には、世界で海底油田事業がますます盛んになりそうだ。

 BPの原油流出事故をよそに、石油と天然ガスの探査・掘削の難所と思われる場所でいくつもプロジェクトが進んでいる。ガーナとナイジェリアの沖合の深海、黒海の深海、ベネズエラのオリノコ川流域の油田などだ。

 世界中の深海事業の4分の1を取り仕切るブラジルの国営石油会社ペトロブラスも、大西洋の海底に眠る推定埋蔵量90億〜150億バレルの油田の開発プロジェクトに期待を寄せている。

 こうした動きの背景には、新興国の急成長により世界のエネルギー需給が逼迫しているという事情がある。インドと中国のエネルギー消費は2030年には1990年の3倍に増え、世界全体の28%を占める。中国のエネルギー消費は14年にアメリカを追い抜く。国際エネルギー機関(IEA)によると30年までに日量6500万バレルの供給増が必要だ。

 アメリカで海底油田の開発計画が延期され続けるようなら、ほかの国の海底油田プロジェクトがますます勢いづくかもしれない。

[2010年6月23日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NZ中銀、12月から住宅ローン規制緩和 物件価格低

ビジネス

先週以降、円安方向で急激な動き=為替で加藤財務相

ビジネス

ステランティス、第3四半期販売台数が13%増 7四

ワールド

ミャンマー総選挙、ASEANが監視団派遣を議論へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中