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アメリカ社会

マリフアナ合法化は格差を拡大させる

2014年1月6日(月)12時17分
デービッド・フラム(本誌コラムニスト)

 幸い大半の若者は試すだけでやめるから、常用者になって長期的な悪影響を被ることはない。しかし最近は試す人の数自体が増えているので、おのずと常用者も増えることになる。

 常用者になる可能性が高いのは、さまざまな機会を取り上げられてしまった若者たちだ。この数十年の間にアメリカ社会は貧困層が中間層へと上昇するための道を次々と閉ざしてきた。賃金水準は低下し、雇用の安定は損なわれ、高等教育の学費は上がり、両親がそろった家庭は減っている。

 そんな世の中で、さらに「自傷行為」を助長すべきだろうか。麻薬が合法化されたら今以上に社会の上層3分1と下層3分の2との差が広がるだけだ。気がめいる現実から逃避するために、手軽な道を求める若者が増えるだろう。

「合法化に反対すれば、刑務所人口の増加を支持することになると考えがちだ」と、最近までオバマ政権の薬物問題アドバイザーだったケビン・サベットは言う。「マリフアナ使用率も収監率も両方下げることはできる。どちらか一方を達成すれば他方が達成できなくなるわけではない。(常用者に対する)治療支援といった賢明な施策を合わせることで可能になる」

 サベットは「第3の道」と称して、合法か否かの二者択一ではない新たな選択肢を模索している。アメリカの若者の未来を麻薬でぼうっとさせるわけにはいかない。

[2012年12月26日号掲載]

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