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ブスお断りサイトが「美の遺伝子」放出

世界最大の美男美女サイト、ビューティフルピープル・ドット・コムが、「自分は醜くても美しい子を産みたい人」に精子や卵子をお裾分け

2010年6月24日(木)16時27分
ジェシカ・ラミレス

 赤ちゃんをかわいいと思わない人などいるだろうか──いや、ある会社の正確な問いかけはこうだ。「美しい赤ちゃんを望まない人などいるだろうか」

 会員が美しいと認めた人しか入会できない外見至上主義の出会い系サイト「ビューティフルピープル・ドット・コム」は最近、地球上にもっと美しい人間を増やすため、会員の精子バンクと卵子バンクのサービスを始めた。

 60万人以上の会員を持ち世界最大の美男美女コミュニティーを自任する同サイトによればこれは、美しい人の精子や卵子を求める人々の生殖ニーズを満たす画期的サービス。

 契約者はすでに200人を越えたと、同サイトのグレッグ・ホッジ専務は言う。仮にあなたが美人でなくても大丈夫。創業者のロバート・ヒンツは報道発表で次のように言っている。「美しくない人にまでサービスを広げることには抵抗もあった。だが人は、たとえ自分は醜くても子供は美しくあって欲しいと願う。我々が持つ『美の遺伝子バンク』を独り占めにするなんて、利己的過ぎる」

ぞっとする子供の注文生産

 この言葉を聞いてもムッとしない人なら、会員でなくても今週からサービスが利用可能になる。ホッジによると、精子や卵子のドナーになっても報酬はもらえないが、もし子どもが生まれれば人工受精を行ったクリニックから報酬がもらえる場合もある。

 そもそもこのサービスのきっかけは、同サイトの美しい会員の精子や卵子を求めるクリニックからたびたび問い合わせがあったことだと、ホッジは言う。そこで、クリニックとドナーを直接結びつけるサービスを始めることにした。サイトの中立性を守るため、クリニックとの事業提携などは行っていない。

 不妊の悩みを抱えた人なら誰でも、新たな潜在的ドナー・グループの誕生を歓迎するだろう。だがビューティフルピープル・ドット・コムのやり方は、親の見かけで遺伝子を選別する優生学的な発想に近い。子どもの注文生産なんて、どう考えてもぞっとする。生まれてきた子が、たとえどんなにかわいかったとしても。

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