最新記事

米政治

CIAがひた隠す秘密暗殺部隊

2009年7月15日(水)19時28分
マーク・ホーゼンボール、マイケル・イジコフ(ワシントン支局)

 しかしある元職員によれば、6月にパネッタが計画を完全に廃止するまで、CIAは暗殺部隊計画を完全には断念していなかった。職員はいつでも大統領がこの選択肢を選べるよう準備する必要があると考え、計画の見直しを重ねていた。

 CIAでは過去2年の中で、この計画について少なくとも3回の高官レベルの会合が開かれた。しかし際立った進展はなかったと、ある職員は言う。最後に行われた数回の会合が大統領や副大統領、国家安全保障問題担当補佐官を含むホワイトハウス高官や議会に知らされなかったのも、大して中身がなかったことが理由だった。

 しかし計画をめぐる極度の秘密主義のせいで、CIAは下院情報特別委員会に所属する7人の民主党議員から「重大な活動」を01年以降議会に隠蔽し続けている、と糾弾されることなった。

情報隠しはチェイニーの指示か

 下院情報特別委員会は機密事項について詳細を明かすことを拒否している。しかしニューヨークタイムズ紙は今月11日、上下両院の諜報機関委員会に対してCIAに計画の情報を流さないよう指示したのはディック・チェイニー副大統領(当時)と報じた。

 チェイニー自身はコメントを出しておらず、彼は無関係だとする元職員もいる。一部の職員は、チェイニーが関与しているかどうかをめぐる議論はこれまでで最も激しいものになるだろうと予測する。

 しかし提案された暗殺部隊の違法性に対する懸念はCIAにもホワイトハウスにもなかったと、複数の政府職員は証言している。事情に詳しい複数の職員は、アルカイダのテロリストを海外で追跡・殺害するCIA特別部隊の設立は、9・11テロ後にブッシュがCIAに与えた広範な法的権限を超えることにはならないと言う。

 同じような権限は過去にもCIAに与えられてきた。02年11月、CIAはアルカイダの上級工作員カエド・サリム・シナン・アルハレチを殺害するためイエメンに無人飛行機を送った。

「国外でテロリストを追跡する計画に驚く理由はない」と、ある職員は言う。「それはCIAの任務の一部だ。この特別な計画が完全に実行に移されたことはないが、別のいくつかの作戦は実行され、議会に正式に報告されている」

 9・11テロの調査委員会によれば、アルカイダがアフリカにある2カ所の米国大使館を攻撃した4カ月後の98年12月、当時のビル・クリントン大統領はCIAがウサマ・ビンラディン捜索の過程で、必要に応じてアフガニスタンの部族を利用してビンラディンを殺害する権限を認める覚書にサインした。クリントンは99年2月の覚書で前年の覚書の内容をトーンダウンしたが、これによってCIAはアルカイダの最高指導者を追う過程でどこまでの行動が許されるのか混乱してしまったと、委員会は報告している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米テキサス州特別選挙、民主党のメネフィー氏が勝利

ビジネス

米アメックス、26年通期の利益と売上高は予想超える

ワールド

米政府機関の一部閉鎖、3日までに解除へ票確保=下院

ワールド

OPECプラス有志国、3月までの増産停止確認 イラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中