恐竜もエサにした7000年前の「頂点捕食者」の姿が明らかに...ワニの祖先の「超肉食性動物」は何者か?
Ancient Crocodile 'Hypercarnivore' Discovered—And It Ate Dinosaurs

(写真はイメージです) David Clode-Unsplash
<アルゼンチンで発見されたのはクロコダイル型の新種の化石。恐竜絶滅直前に食物連鎖の頂点に立っていた「超肉食動物」の謎に迫る──>
古生物学者らが、約7000万年前に現在のアルゼンチンに生息していたクロコダイル型の「ハイパーカーニボア(超肉食性)」動物の化石を発見した。この生物は、恐竜を捕食していたと考えられている。
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コステンスクス・アトロクス(Kostensuchus atrox)と名付けられたこの新種は、恐竜絶滅直前の白亜紀末期・マーストリヒチアン期に生きていた。当時のアルゼンチン南部は、温暖で季節的に湿潤な気候の淡水氾濫原が広がっており、恐竜やカエル、さまざまな哺乳類が共存していたという。
K. アトロクスの骨格はほぼ完全な形で発見され、とくに頭骨と顎は良好な状態で保存されていた。研究チームによれば、この個体は全長約3.5メートル、体重はおよそ250キログラムに達していたと推定される。
幅広く強靭な顎と大きな歯を持ち、大型の獲物を仕留める能力があったようだ。中型の恐竜も捕食していた可能性があり、当時の生態系における頂点捕食者のひとつだったと研究チームは指摘している。
この新種の属名は、先住民テウェルチェ族の言葉で「パタゴニア地方の風」を意味する「コステン(Kosten)」とエジプト神話のワニ頭の神「ソウコス(Souchos)」に由来する。一方、種小名の「アトロクス」は、ラテン語で「獰猛な」「厳しい」といった意味を持つ。
K. アトロクスは、アルゼンチン南部に露出する約7000万年前の地層「チョリージョ層」から見つかった初のクロコダイル型化石であり、現代のクロコダイルやアリゲーターに近縁な絶滅グループ「ペイロサウルス科」の中でも、最も完全に近い標本のひとつとされている。