トランプやマスクが目指す「人類の火星到達」の本当の実現度...彼らが見落とす宇宙旅行の「現実」とは?

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2025年5月15日(木)17時10分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌調査報道担当)

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24年11月19日、マスクはトランプを招きスターシップ6回目の打ち上げ試験に臨んだ BRANDON BELL/GETTY IMAGES

「それ以降は打ち上げペースを飛躍的に加速させる。最終的には、20年くらいの間に自給自足型の都市を築きたい」と、マスクは昨年9月に述べている。「多惑星文明を築ければ、人間の意識が生き延びる期間を目覚ましく伸ばせる。1つの惑星に全てを依存せずに済むようになることの意義は大きい」

しかし、マスクが掲げているスケジュールはあまりに野心的で、問題を伴いかねないと、専門家や元宇宙飛行士たちは述べている。


フィラデルフィアの科学博物館フランクリン・インスティテュートのデレク・ピッツ主任天文学者によれば、火星ミッションを成功させるには、克服すべき「実務上の課題が山ほどある」という。宇宙飛行士を過酷な放射線から守るための宇宙服を開発したり、ロケットや宇宙船を前進させるための推進システムを進歩させたりしなくてはならない。

「このような実務上の問題を考えると、実現するまでにはそれなりの時間がかかるだろう」と、ピッツは本誌に語っている。「今後10年以内に実現するかと尋ねられれば、可能性はあるけれど、リスクは多いと言わざるを得ない。けれども、30年以内であれば、リスクは許容可能なレベルまで下がるかもしれない」

ピッツが指摘するように、放射線の問題を解決することは極めて重要だ。火星には磁場がなく、宇宙から降り注ぐ放射線を跳ね返せない。そのため、数年にわたる長期のミッションで火星に滞在する宇宙飛行士は、命に関わる量の放射線を浴びる可能性があるのだ。

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