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人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜いた──ただしそれは異形のAI

China's Next-Level AI Could Overtake US: New Report

2025年5月20日(火)20時57分
ディディ・キルステン・タトロウ(本誌米国版・国際問題担当)
武漢で開かれたAI開発者会議

武漢で開かれたAI開発者会議で、IT大手百度が最新のAIモデルを発表(4月25日)Photo by Ding Yi/VCG

<ハイテク都市武漢では壮大なAIの社会実装実験も始まっている。それは、中国共産党のために社会を統制する異形のAIだ>

中国は次世代の人工知能(AI)──人間のような思考や判断が可能になるとされる「汎用人工知能(AGI)」──の開発で、アメリカを凌ぐ勢いにある。アメリカで新たに発表された報告書によると、それは中国共産党の価値観を組み込んだAIであり、技術覇権争いにおける中国の優位性を押し上げる可能性がある。

その実験場となっているのが中国中部・湖北省の武漢市だ。新型コロナウイルスの発生源ではないかと悪名を轟かせたこの都市は、先端技術や科学研究の一大拠点でもあり、AI開発の中心地のひとつになっている。


 

米ジョージタウン大学の安全保障・先端技術センター(CSET)が5月16日に発表し、本誌が発表前に独占提供を受けた報告書によれば、北京の2つの主要なAI研究機関は国家の強力な後押しの下、武漢に支部を設立。欧米の開発者や政策立案者の注目を集めている生成AI の大規模言語モデル(LLM)を代替する高度な技術を共同で開発しているという。

報告書の筆頭著者であるCSET主任分析官のウィリアム・C・ハナスは本誌に対し、中国のAI戦略は多面的かつ革新的であり、アメリカはすでに遅れを取っている可能性もあると語った。

「いくらデータセンターに巨額の資金を注ぎ込んでも、追いつけるとは限らない。競争的なアプローチが必要だ」

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