最新記事
テクノロジー

4分の3が未知の「海の底」には何がある? NASAと仏宇宙機関が開発した衛星が海底マッピングに成功

2025年4月4日(金)12時50分
メリッサ・フルール・アフシャル
海底

海底(写真はイメージです) Mia Stendal-Shutterstock

<NASAとフランス国立宇宙研究センターが共同開発した「SWOT」衛星が、地球表面の4分の3を覆っている海の海底地形のマッピングに成功。その成果を示す映像が公開された。数センチ単位で高さの違いを検出できる高精度の衛星が可能にしたこととは──>

NASAの高度な海底マッピング技術により、「生命の命」である海の底に何が隠されているのかが明らかになった。

【動画】SWOTの海底地形マッピングで明らかになった「丸裸の地球」

NASAとフランス国立宇宙研究センター(CNES)が共同開発した「表面水および海洋地形(SWOT)」衛星が、宇宙から海底地形のマッピングに成功。このデータは、地球表面の4分の3を覆う海底地形の理解を推し進めるものとなる。

これまで直接調査された海底は4分の1にすぎず、今回のデータは、残りの4分の3の謎を解く手がかりとなりそうだ。

SWOTが作成した海底地形図は、海流や海洋生態系を形成する海丘や海山などの海底地形についての研究を発展させるほか、プレートテクトニクス(大陸移動説)のような地質プロセスについての理解を深めることにも役立つ。

海山は、海底からの高さが1キロメートル以上のもので、海洋生物の重要な生息地となっている。一方、海丘はより小さく、文字どおり海の中の「丘」を指す。

SWOTは1センチメートル単位の精度でわずかな地形変化をとらえる繊細な感度を備え、しかも21日ごとに地球表面の90%をカバーする。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校にあるスクリップス海洋学研究所のデビッド・サンドウェル教授(地球物理学者)とそのチームは、1年分のSWOTデータを使用し、海山と海丘のほか、海洋地殻と大陸地殻が接する海底大陸縁辺部をより詳しく調査した。

高さ1キロメートル以上の海山しか感知できなかったこれまでの衛星とは異なり、SWOTはその半分以下の隆起も識別可能だ。その精度の高さにより、海丘・海山などの数は4万4000から10万へと倍増すると推定される。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円・ユーロで週間上昇へ 貿易

ビジネス

米国株式市場=米中協議控え小動き、トランプ氏の関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中