最新記事

SNS

フェイスブックに内部告発「ザッカーバーグが知っていたこと、やらなかったこと」

What Zuckerberg Knew

2021年10月11日(月)17時35分
アーロン・マク

211019P35_FBK_03.jpg

議会で証言するザッカーバーグ(2019年) ERIN SCOTTーREUTERS

自ら生んだ怪物への責任それどころか、彼は今年、議会でインスタグラムの若いユーザーへの影響を尋ねられて「メンタルヘルスにいい効果がある」と述べ、13歳未満向けのインスタグラムを開発する計画について言及している(その後、保護者や専門家の意見をさらに取り入れるとして開発は中断)。

ザッカーバーグは、若年層に有害なインスタグラムの環境を改めるための対策を1つだけ採用している。

今年、フェイスブックとインスタグラムは「プロジェクト・デイジー」と銘打ち、試験的に「いいね」の数を表示しなかった。

前述の社内プレゼンでは、この対策で事態は改善しないと示唆されていた。それでも少なくとも表面上は対策を取っているように見えるという理由で幹部たちは採用を進言したと、WSJは伝えている。

ハウゲンのリークによれば、提案されていた対策にはユーザーがアプリ利用を「小休止」できるようにする選択肢を設ける案もあった。そうすることで、若いユーザーがお互いを比べて落ち込んでしまう不健康な「アリ地獄」から脱出できるというのだ。

有効な一手に思えるが、ユーザーエンゲージメントを実際に停止させることになる。

インスタグラムがこの対策の導入を発表したのは9月末。WSJによる一連の報道の後だった。ザッカーバーグがこの決定に関わったかは定かではない。

ザッカーバーグが正しい行いをしたこともある。

彼はかねて医療に関する誤情報対策には積極的で、反ワクチン投稿に関しても同様だった。3月には、同社のプラットフォームを、人々にワクチン接種を促すツールにすると宣言。医療機関と共同で信頼性の高い情報の拡散に努め、新型コロナウイルス関連の投稿に関しては厳格な基準を適用した。

それでも、反ワクチン活動家はフェイスブックを存分に利用できたようだ。

社内調査によると、ワクチン関連のコメントのうち41%はワクチン接種を阻止しようとするものだった。対策は不十分だったと言える。投稿のチェックシステムにコメントを監視する機能がないことも一因だ。

反ワクチン対策の失敗は、ザッカーバーグが作り上げた巨大なシステムが彼の手に負えなくなっていることを如実に示した。しかしフランケンシュタイン博士に自らが生み出した怪物に対する責任があるとすれば、ザッカーバーグも同様だろう。

フェイスブック社は「指標によってほとんどの決定がなされる」組織で、「誰かが一方的に責任を負わされることもない」と、ハウゲンは議会で証言した。

しかし彼女が言うように、そうした組織をつくる決定を下した責任が誰にあるかは明らかだ。

©2021 The Slate Group

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

リオティントとグレンコア、合併交渉を延長か=関係者

ビジネス

スズキ、通期純利益予想を上方修正 期末配当1円増配

ワールド

AIで児童の性的画像生成「犯罪に」、ユニセフが各国

ワールド

NY市、WHO傘下のネットワークに加盟 トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中