ニュース速報
ビジネス

GPIF、24年度運用収益1.7兆円 5年連続増も年明け以降はマイナス

2025年07月04日(金)17時06分

 7月4日 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4日発表した年度概況書によると、外国株式市場の好調を背景に、2024年度の運用収益は1兆7334億円だった。写真はGPIFの看板。2018年11月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

Miho Uranaka

[東京 4日 ロイター] - 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4日発表した2024年度の運用収益は、1兆7334億円だった。過去最高の45兆円超となった23年度から大幅に縮小したが、外国株式の運用益に支えられ5年連続のプラス運用を確保した。ただ、1─3月期はマイナス収益となっており、運用成績は徐々に悪化している。

24年度の収益率はプラス0.71%。金利上昇の影響で国内債券はマイナス4.47%と振るわず、全体の運用成績にマイナス要因となった。一方、外国株式は、市場が急落する場面はあったものの全体としては比較的堅調だったため、6.62%で全体の収益を下支えした。自主運用を始めた01年度からの累積収益額は155兆5311億円だった。

保有比率は3月末時点で国内債券が27.64%、外国債券24.37%、国内株式23.94%、外国株式24.05%となり、いずれもGPIFが定める指針の範囲内に収まった。名目運用利回りから名目賃金上昇率を引いた実質的な運用利回りはマイナス1.50%だった。

1―3月期の運用損益は8兆8152億円のマイナスで、収益率はマイナス3.41%だった。国内外株式と債券いずれも収益率が悪化している。年度末にはトランプ米政権の関連政策を受けて外株市場も大幅な調整局面に入り、かろうじて年間のプラスを確保したことになる。

厚生労働省はGPIFによる運用利回り目標を、第5期(25─29年度)はそれまでの水準から0.2ポイント引き上げて1.9%としている。GPIFは運用目標を満たしつつリスクを最小限にとどめ、国内外の株と債券に25%ずつ配分する現在の基本ポートフォリオ(資産構成割合)を維持している。

内田和人理事長(4月に就任)はこの日の会見で「短期的な市場の変動にじたばたせず、状況分析をしっかりしながら、基本ポートフォリオを維持して運用していくことが中長期的にパフォーマンスを上げるのに重要」との考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

TSMC、米投資計画は既存計画に影響与えずと表明 

ワールド

OPECプラス有志国が5日に会合、日量41.1万バ

ワールド

中国、EU産ブランデーに最大34.9%の関税免除 

ワールド

トランプ氏の発言注視とロシア報道官、電話会談「失望
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「コメ4200円」は下がるのか? 小泉農水相への農政ト…
  • 10
    1000万人以上が医療保険を失う...トランプの「大きく…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 10
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中