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「喉に炎症があります」の炎症って何? その怖さ、おさめ方、原因は...

2020年10月8日(木)17時50分
小倉加奈子(順天堂大学医学部附属練馬病院 病理診断科先任准教授、臨床検査科長)

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yaoinlove-iStock.

どうやったら炎症をおさえられるのか

通常の感染症や怪我などによる炎症は、病原体が排除されたり、傷めてしまった組織の修復がおさまれば、自然におさまるものです。

ですので、過度の炎症があってつらいときは別として、やみくもに炎症をおさえることはよくありません。安静にして、自然治癒を待つ、というのが鉄則です。

一方、難しいのが、さきほどお話したような制御のきかなくなった急性の重症化した炎症や慢性に経過する膠原病のような特殊な炎症です。

新型コロナウイルス感染症の重症肺炎については、呼吸状態をサポートする治療をしながら、炎症をなんとかおさえる治療法が模索されているところです。

膠原病に関しては、ステロイド剤をはじめとした炎症をおさえる対症療法が中心ですが、こちらも少しずつ新薬が開発されています。

炎症は万病へ、万病が炎症に

炎症は、身体の緊急事態に対する反応と言えますから、あらゆることが原因で生じます。

動脈硬化も血管壁に脂質がへばりつき、そこで「炎症」が起こることによって生じますし、逆に、動脈硬化によって、血流の流れが悪くなると、いざ緊急事態が生じたときに、ダメージを受けた組織に大事な免疫担当細胞や物質が供給されづらくなります。

炎症は、あらゆる病気の原因であり結果です。適度な運動、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠。規則正しい生活を送ることが何より重要です。

これから秋冬に向かって、新型コロナウイルス以外にも様々なウイルス感染症が流行する時期を迎えます。まわりに病原体を広げないように、マスクの着用と、何より自分の健康管理を十分にしてください。

そのためにも、自分の身体、病気のことをもっと知っておいてもらいたいと思います。


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